質問①:今年7 月よりデュピクセントの投薬を開始しました。約2 ヶ月後に行った血液検査では8900あった非特異的IGEが4600まで下がり効果を実感する一方で、動き回るとすぐ息が上がり話し続けると苦しいなど症状が残っています。治療経過として順調なのでしょうか。なお投薬前は短時間作用型気管支拡張薬を1 日2 、3 回必要としていましたが今は1 回以下に減少しています。
飯倉先生:この方はまだ治療が不十分なように感じます。やはり患者さんの状況によって、つまりどういう日常生活を送られていて、どういう仕事をされていて、どういうときに症状が出るのかを含め医師と相談しながら治療法を決めていくのが大事です。例えばマラソン選手だったら走った時に症状が出ないようにかなり治療を強化しますし、あまり動かない方の場合はその状況に合わせて治療します。デュピクセントを使ってもちょっと話し続けると苦しいというのが問題であれば、採血をして好酸球の数値が上がっていないか調べるとか、違う製剤の注射や内服薬などで他にいい薬がないかうまく吸入できているかなどについて調べ、可能なものを追加することでもう少し症状をよくできると思います。
坂本先生:この方は今年7 月からデュピクセントを始めたそうなのでまだそんなに時間が経っていません。デュピクセントの効果はよく出ているようなので、飯倉先生がおっしゃる治療を続けながらあと少し根気よく待ってもいいと思います。
飯倉先生:そうですね。症状がだんだん良くなればいいのですが、まだ残っているとすると、何かしらアプローチが必要になる可能性もあると思います。
質問②:61歳で、風邪の症状から半年ほど経て喘息の診断を受けレルベアの処方を受けました。薬を離脱できる具体例があればその過程も含めご紹介ください。
飯倉先生:風邪の症状から半年ほど経て、喘息の診断を受けてレルベアの処方を受けているということですが、喘息という診断が本当に正しいかにもよると思います。風邪の後に喘息のような症状が一過性で出てその後治ってしまうことはありますので、本当にそれが喘息かというのはもう少し長い目で見なければわからないと思います。半年ほど喘息になりレルベアを使って離脱できたということは、実は本当の喘息じゃなかった可能性もあると思います。喘息というのは1年や2年症状が無くもう治ったかなと思ってもまた症状が出るなど波があります。何年離脱できたら本当に離脱できたと言えるのか、その辺も含めて長い目で見ないとわからないと思います。
質問③:成人してから喘息になりました。吸入薬やアレルギーの薬を7年くらい継続しています。咳がすっきりと出なくなることはなく、このままずっと症状が続くのか不安に思っています。
飯倉先生:治療していてもなかなか良くならないときには、抗コリン薬が入っている吸入薬を使ってみる方法もあります。また、CTを取ってみたら慢性の気管支炎とか気管支拡張症とか、喘息に合併して他の病気が隠れていることもあります。更に胃酸が上がってくる逆流性食道炎がある方では、胃酸を抑える薬を使うことで咳が治まることもあります。ですから咳が純粋に喘息によって起きているのか何か合併症がないか、そこを検査することで新たな治療薬を見つけられる可能性があると思います。
坂本先生:まずは飯倉先生がおっしゃられたように純粋な喘息だけなのか、合併症の有無の評価をしてみるといいと思います。そして合併疾患がなく喘息だけであれば、躊躇なく治療のステップアップをすると良くなると思います。
質問④:耳鼻科で慢性咽頭炎と診断されました。後鼻漏があり風邪を引きやすい気がしますが喘息と関係あるでしょうか。
飯倉先生:慢性の咽頭炎と喘息は直接関係ありません。逆に、喘息の吸入薬を吸っていてうがいが足りなかったりすると喉が赤くなる可能性がありますので、ステロイドが入った吸入薬の後にはきちんとうがいをするのが大事です。また後鼻漏があり風邪を引きやすいというのは、慢性の副鼻腔炎つまり蓄膿症がある場合、そちらの治療をすることで良くなる可能性があるのでそこをチェックすべきと思います。
質問⑤:成人喘息と肥満の関連はどの程度分かっているのでしょうか。また、喘息と2 型糖尿病の関連性についても教えてください
飯倉先生:肥満というのは喘息が悪化する因子の1 つです。肥満の患者さんは痩せなければいけません。肥満の何が問題かというと、太ってくると気管支が狭くなったり横隔膜が上がったり肺活量が減ったりするということです。また、脂肪細胞から炎症のサイトカインが出ることで喘息を悪化させるという話もあります。ですから痩せることで喘息も良くなる可能性があります。それから喘息と糖尿病に関して、喘息の患者さんは糖尿病が多かったり糖尿病の患者さんは喘息が多かったりという話はあります。喘息でステロイドを使ったため糖尿病が出てくることや、血糖が変動することで糖尿病になりやすいという話もありますので、最近は関連性があると言われています。
質問⑥:60代でアトピー性咳嗽です。一酸化窒素値が48になったことがあり、直近は28です。抗アレルギー薬や漢方薬、パルミコートを使用しても咳が完全になくなることがありません。夜間の咳が続いたときに、逆流性食道炎の可能性があると制酸剤を内服しましたが効果は感じられませんでした。胃カメラでバレット食道という所見でした。胃腸症状は全くないのですが、このまま呼吸器科だけの治療継続でいいのか。それとも胃の薬を加えた方がいいでしょうか。
飯倉先生:アトピー性咳嗽ということで喘息でないとすると抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー薬で良くなると思うのですが、完全に良くならないのであれば咳嗽が本当にアトピー性咳嗽だけなのかということになります。もし喘息で咳が出ているのであれば、パルミコート以外に喘息の治療をもう少し強化することで良くなるかもしれません。呼気の一酸化窒素値が以前もっと高かったそうなので本当に気管支喘息がないか確認が必要と思います。逆流性食道炎に関して、制酸剤を内服しても良くならないということですが、消化器科も受診されて逆流性食道炎の治療を強化するといいのではないでしょうか。
坂本先生:制酸剤も何種類かありますので、少し強めの薬を使ってみるのはいかがでしょうか。
質問⑦:成人に喘息やアトピーが増えている理由は何ですか。そうなると治らないのでしょうか。
飯倉先生:なかなか難しい質問です。喘息やアトピー性皮膚炎が増えてきている理由は環境や食生活が欧米化してきているという話もあり、生活習慣が変わったことによって増えているのかと思います。喘息とかアトピー性皮膚炎について何年症状が落ち着いたら治ったと言えるのか難しいことがあり、例えば10年大丈夫でもその後喘息がまた出てくることもありますので、治るかどうかについての判断はすごく難しいと思います。
質問⑧:喘息の持病のある人は肺の抗酸菌症にかかりやすいのでしょうか。また、その予後について教えてください。70代でまだ抗酸菌症と確定していませんが、土いじりなどを制限されエリスロシンを4 月から処方されています。主治医は呼吸器専門医ですがこのままかかっていてよいでしょうか。
飯倉先生:喘息の持病のある人が抗酸菌症にかかりやすいというわけではありません。ただ、吸入ステロイドを使用すると気道感染が起こりやすくなるので、抗酸菌症を発症しやすくなる可能性はあると思います。ただ、抗酸菌症とまだ確定していないのに土いじりを制限するのはちょっと行き過ぎかもしれません。CTなどで抗酸菌症に合致する画像所見があるのであれば、菌が出ていなくても間違いなく抗酸菌症ですので土いじりをやめてくださいと言われるのかもしれません。またエリスロシンは抗菌薬ですが、抗酸菌治療のための抗菌薬としては不適切です。なかなか良くならないのであれば、セカンドオピニオンも1つの手かもしれませんし、治療を見直してもいいかと思います。
(2025年11月9 日(日)日本アレルギー友の会講演会より採録 門井)









