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  • 2 0 2 1

    第599号

    アトピー性皮膚炎の治療~外用治療の基本と新薬の話題~①

    東京逓信病院皮膚科部長 三井 浩先生

    診断基準と年代別の病変の特徴

     アトピー性皮膚炎は一般的に幼少期に発症し、加齢とともにその患者数は減少していき、一部だけ成人型に移行していきます。

     厚生労働省の管理のもと、個別の追跡調査が2006年から2008年に行われています。4カ月健診では16.2%が発症、4カ月から1歳半までに70.1%寛解しています。3歳までの累積発症率は31.6%、だいたい3割ということで、これは海外の報告例と同程度です。

     診断基準については第一にかゆみがあること、第二に特徴的な皮疹と分布の湿疹病変があることです。

     アトピー性皮膚炎に似た別な病気がいくつかあるので注意が必要です。

     「接触皮膚炎」は湿布や漆など、いろいろなものでかぶれを起こします。「疥癬」は非常にかゆみが強く、ヒゼンダニという小さなダニが、皮膚と皮膚が接触することでうつり、発症します。「乾癬」はカサカサしているのが目立つので鑑別しやすいのですが、時々見誤ることもあるのでしっかりと診ていきます。「悪性リンパ腫」は皮膚科でも見落としてしまうことがあり、小さい頃はアトピーと言われておらず、高齢になっていきなりアトピーと言われた方に一部みられることがあるので注意が必要です。

     湿疹病変には急性と慢性のものがあります。急性期は赤い紅斑とか小さいぶつぶつの丘疹、むくみ(浮腫)、水ぶくれ(水疱)、ひっかき傷(掻破痕)が混在して湿潤性湿疹を形成していきます。これが慢性化していくと、かき壊すことにより皮膚が厚くなっていきます。苔癬化という厚いごわごわです。象の皮膚みたいにざらざらしてしまい、さらに強くかき壊すと痒疹結節といって、しこりになります。

     乳児期は発症した直後なので急性期にみられる紅斑、丘疹、水疱などが主体です。よだれや汗の出る顔面の露出部位から始まり、衣服で蒸れる場所、体とかおむつの部分などに広がっていく傾向があります。

     幼・小児期になると少しずつ乾燥傾向が目立ち、急性病変に加えて苔癬化(厚いごわごわ)などが現れてきます。成人になると乾燥が強く、顔面や頸部、上半身に強く認めて、苔癬化や痒疹、ひどくなると紅皮症といった様態も呈してきます。

    新しい治療について

     今まではステロイド外用薬やタクロリムス外用薬(プロトピック™軟膏)などの塗り薬が主で、そのほかに紫外線療法、光線治療、シクロスポリン(ネオーラル™)がありました。3年前からは注射製剤、昨年にはJAK阻害剤という細胞内のシグナル伝達を阻害する新しい作用機序の外用薬と内服薬があいついで発売されました。

     「光線治療」は難治性のかゆみに対し効果があり、全身型は1~2分と短い時間であてます。最初は定期的な通院が必要ですが、良くなってきたら間隔をあけていくことは可能です。

     「注射製剤」であるデュピクセント™はアトピー性皮膚炎の病態の主流を形成するIL―4、IL―13の受容体をブロックする注射です。初回に2本打ち、その後2週間ごとに1本ずつ投与します。非常に切れ味が良く、よく効くのですが、値段が高いです。しかし、自己注射を導入すると安くなる場合もあります。

     「JAK阻害薬」は新しい抗炎症薬です。外用薬と内服薬があります。デルゴシチニブ外用薬(コレクチム™軟膏)は細胞内のシグナル伝達を抑えるJAK阻害剤です。1日2回塗るのですが、1回あたり5g以内とだいたい量は決められており、塗るとピリッとした刺激感があります。JAK阻害剤の内服薬もいろいろなサイトカインシグナルを抑えて広く炎症を抑えるもので、4mgを1日1回飲むだけで簡単な治療ですみます。注射が苦手な方に対する候補薬となります。

    治療の目標とコツ

     このように新しい治療法が出てきていますが、治療の基本は外用治療です。

     アトピー性皮膚炎治療の最終目標は何も治療をしなくていいということではなく、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に達することです。

     外用治療の薬剤の中で、有効性と安全性がきちんと検討されているものはステロイド外用薬とタクロリムス外用薬の二つになります。

     治療のコツは、早く、しっかり治すということです。すなわちHit early and hit hard、早めに治して寛解維持にもっていくことが大事です。(つづく)

    (2021年6月6日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 大場康子)

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