現在新型コロナワクチン3回目接種が国を挙げて進められていますが、4回目接種についても令和4年4月28日付けで厚生労働省から通知が出されました。
(表を参照:4回目接種の対象者についてわかりやすくなるよう通知文を一部言いかえています)。
今後も、ワクチンやコロナウイルス感染をきっかけとする抗体産生による防御力と、ウイルスの変異株とのせめぎ合いが続くはず。ウイルス変異株は予測困難である一方、防御力(抗体価)は時間がたつと低下するのでワクチンの追加接種が必要となります(抗体価が低下しても、免疫系の記憶が残っていればウイルス到来時に速やかに抗体を作り直すことが可能なので、抗体価の数値だけで防御力が決まるわけではありません。もちろん、抗体価が重要な指標であることは確かです)。無害の弱々しいウイルスに置きかわることを期待するのは空想家に任せることにし、我々は地に足がついた対策に目を向けねばなりません。先が見通せない状況下で、厚生労働省では、今まで本当に良く考え抜き練りあげた感染対策指示を発出しておられることに敬意を表します。
現在のCOVID-19流行については、オミクロン株のうちでも、BA.1からBA.2に置きかわってきています。昨年のデルタ株と比較して、COVID-19入院患者の比率は下がっていますが、新規感染者は依然として多く、身近な人が感染者あるいは濃厚接触者となる場面もしばしば経験します。オミクロン株は重症化しにくいといわれていますが、腎不全や肥満といった重症化因子をもつ人などで重症化がありえますので、気を抜けません。今年私が診療した中にも、酸素飽和度が正常に近い数値であったものが、数時間後に入院する時には肺炎が明瞭で酸素吸入を必要とするほど急速に悪化した人もいました。
1、2回目のワクチン接種が済んでいて、3回目が未接種の方は、早急に受けていただきたいです。3回目接種をすでに終えている方は、4回目接種について頭に入れておいてください。なお、全員が4回目接種の対象というわけではありません。
4回目接種の対象は、60歳以上の方は全員ですが、18 ~ 59歳に関しては一部だけです。表の中の1項目でも該当すれば対象者といえます。自分が対象者かどうか、早めに判定しておきましょう。判断がつかないなら、かかりつけ医師に相談してください。用いられるのは、ファイザー社あるいは武田/モデルナ社のワクチンです。
60歳以上の方は役所から4回目の接種券が送られてくるものと思われます。18 ~ 59歳については、詳細は未定ですが、おそらく自分で申請する必要がありそうです。基礎疾患の情報を役所はもっていないので、役所で対象者を選ぶことが困難だからです。アレルギー疾患のうちでは、ぜんそくをもっている方と、全身性ステロイドや免疫抑制薬といった免疫機能を低下させる薬剤を継続している方が該当します。なお、規定は今後変わる可能性があるので、最新情報に基づいて判断するようにしましょう。
通院中の患者さんから、ワクチンの副反応に関してだけでなく、もしコロナに感染してしまった場合に、接種予定であったワクチンをやめるべきかを聞かれることがあります。厚生労働省のホームページ(新型コロナワクチンQ&A)には、こういった想定質問に対する回答が掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。
山口先生