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    第631号

    アトピー性皮膚炎の治療薬の整理とこれからの治療の展望

    ~アトピー性皮膚炎の現状~①

           獨協医科大学医学部皮膚科学講座主任教授 井川 健先生

    成人の患者も多く、子どもだけの病気ではない

     日本皮膚科学会では、アトピー性皮膚炎を、湿疹・かぶれが良くなったり悪くなったりを繰り返す病気と定義しています。多くの患者さんには、アトピー素因と呼ばれる要因があるといわれています。たとえば、家族にアレルギー性疾患の患者さんがいらっしゃる、血液検査をすると免疫グロブリンのIgEの値が高いなどです。
     アトピー性皮膚炎は一般的に2~3歳の小児期までに発症するイメージで、その多くは小学校、中学校と成長するにつれ、だんだん良くなっていくといわれていますが、大人の患者さん、成人型アトピー性皮膚炎も、実はかなり多いと感じています。
     実際、どのくらいアトピー性皮膚炎の患者さんがいるかの全国的調査はされていません。北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の大学病院の患者さん、学生さんに話を聞き、どのくらい患者さんがいるのかをみた調査によると、確かに小児期のほうが多く15%近くですが、3歳くらいがピークで、だんだんパーセンテージは下がり、10%前後で止まります。20代、30代の若年成人の方も10%くらいです。これをみても、子どもだけの病気ではないことがわかります。
     さて、各年代に患者さんがいらっしゃるわけですが、それぞれの患者さんの重症度はどうか、どのくらいひどい人がいるのかを次にみてみます。一般的に慢性の病気は、罹病期間が長くなると、それに比例して重症度が少しずつ上がります。そういう目で見ると、中等症とか重症、要するにちょっと皮膚症状がひどい人の割合は、1歳から3歳の頃の割合に比べ、小学1年生・小学6年生・大学生・20歳代・30歳代といった世代の患者さんで多いということがわかると思います。

    診断の重要性

     アトピー性皮膚炎は具体的にどのように診断するのかという話をします。ガイドラインの診断基準はシンプルです。かゆみがあって、特徴的な皮膚症状があり、慢性的に経過することです。慢性の目安は6カ月、小児の場合は2カ月です。
     しかし、かゆみと皮疹があり、6カ月以上治らないものを全部アトピー性皮膚炎と診断するのは早計です。アトピー性皮膚炎のように見えて実は違う病気である、という例はたくさんあるからです。診断を間違うとその後の経過で非常に困ることになる皮膚の微生物感染症や、稀ですが、皮膚の悪性腫瘍がアトピー性皮膚炎に似た臨床を示すことがありますので、きちんと診断しなければいけません。
     アトピー性皮膚炎の症状が改善しないと思っていたら、皮膚の悪性腫瘍である皮膚リンパ腫と最終診断された例や、おむつかぶれと診断されたが、ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans Cell Histiocytosis)である例もあります。皮膚科医は、このようなことを念頭において、頑張って診断していることを知っていただければ嬉しいです。
     1人の患者さんの中で、初めはAという病気が出てきて、そのうちにBという病気が出てきて、次にCという病気が出てきてと、順々にアレルギー関係の病気が出てくるような状況が時々起こりえます。これをアレルギーマーチといいます。
     最近、アトピー性皮膚炎がアレルギーマーチの最初の病気である可能性が指摘されており、皮膚炎症が続くことが、ひいては、そのほかの全身のアレルギー性疾患の発症につながる可能性があるといわれていますので、早い段階でアトピー性皮膚炎を認識し、患者さんと医師がしっかり話し合いながら治療していくことが、その後のアレルギー疾患の進展に関して重要になるというのが最近の流れです。
     アトピー性皮膚炎の治療は詳細なガイドラインに基づいています。治療の指針、基本的な方針は2000年頃より変わっていません。しっかり診断しないといけない病気が混ざっていることもありますので、診断は重要です。また、重症度を考慮することも必要です。患者さん自身が体感している重症度もあると思いますし、客観的な重症度評価も必要で、これら重症度を多角的に踏まえた上での治療になると思います。
     治療に関しては、薬物治療が重要である一方、皮膚の炎症反応にはスキンケアも重要で、スキンケアなしでは薬物治療の効果も落ちると思います。増悪因子対策も同時に行うことが効果的です。ただし、増悪因子対策だけやればアトピー性皮膚炎が良くなるという話ではないことに注意してください。
    (2023年11月12日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 平野)

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