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    第631号

    私らしく輝くために、あなたらしく輝くために(上)

    ~標準治療13年 今、伝えたい思い、そして願いとは~

                       東京都 石川 彩弥子(50代)

     今月より3回にわたり、アトピー性皮膚炎治療の「脱ステロイド」から「標準治療」への道のりと、学んだこと・日頃工夫していることをお話しさせていただくことになりました。最後までどうぞよろしくお願いいたします。

    ❖医療に対する諦めと不信から脱ステへ

     「この子は肌が弱いですね」、新生児検診で母は言われたそうです。幼い頃から皮膚科通いだった私は、かゆみで辛いことが多かったものの、処方されるステロイド軟膏を毎日塗ってさえいれば何とか普通の生活を送れていました。
     ところが、二十歳を迎えた頃、友人に紹介された自然派化粧品のお店で「ステロイドは身体に悪い、今すぐ使用をやめて身体から毒を出し切らないとアトピーは根本的に治らない」と強く勧められたことをきっかけに「脱ステ」に踏み切りました。
     皮膚科では毎回同じ薬を処方されるだけで治る気配はなく、医療への不信と諦めの気持ちが積もっていたこと、また、ある民放の報道番組でステロイドバッシングが話題になっていたこともあり、気持ちに拍車がかかりました。

    ❖死の恐怖

     その結果、わずか1~2週間で皮膚症状が悪化し、頭のてっぺんから足の先までドロドロ・グチャグチャな皮膚になってしまいました。強烈なかゆみと、かき壊した傷の痛み、炎症の熱でまともに動くこともできません。下着や部屋着には血液と浸出液がへばりつき、それは布団にまで染み出して、シーツははがれ落ちた皮膚で真っ黒になるほどでした。その浸出液はとても嫌なにおいで、「このまま腐って死んでしまうのではないか」という恐怖を何度も味わいました。眼を開くことも辛く、眉毛やまつ毛はかき壊してしまい、ありません。髪の毛も軽く引っ張るとおもしろいように抜けていきました。
     自分の姿を見たら生きていられるかどうか自信が持てず、次第に生活空間の明かりを消して、姿が映り込みそうなものは一切見ないようになりました。あの時の私は感情というか心を殺して、とにかく呼吸をするだけで精一杯、やっと生きていたと思います。外出できる日もありましたが、そんなひどく辛い生活が10年近く続きました。
     嬉しいことや楽しいことがある今、「生きていて本当に良かった」と思います。

    ❖脱ステに疑問を抱き始めた30代、 こだわりを手放し新たなステップへ

     30代に入り思いがけない出会いがありました。脱ステ治療を希望して行った漢方専門の病院で「漢方薬を飲みながらステロイドやプロトピックを使ってみませんか?」と勧められたのです。「絶対に嫌だ!」と拒絶する私に、その病院のスタッフは「薬が怖い」という頑なな気持ちを何回も長い時間をかけて聞いてくださいました。あの時、気持ちを受け止めてもらえたことは大きな安心と信頼につながったと思います。そのおかげで、ほんの少し薬を使えるようになりましたが、結局、コントロールはできず安定した生活を送ることはできませんでした。
     そんな時でもありがたいことに私を心配して声をかけてくださる方がいたり、病院で知り合ったたくさんのアトピー仲間の中にはサッサと治療をして社会復帰をしている人、結婚・出産をしている人、海外旅行を楽しんでいる人もいました。「彼らと私の何が違うんだろう?」30代も後半になったある時、ふっと疑問が湧いてきたのです。
     「アトピーの症状を受け入れて楽しく生きている人たちがいる。ほかにも世の中にはさまざまな病気と闘い、薬を使いながら1日の命に感謝をして精一杯生きている人たちがたくさんいる。その薬とステロイドの何が違うの?ステロイドは本当に毒?勘違いをしているのは私かもしれない…」。そう気がつくと「もう、このままじゃいけない!人生を変えたい!」と心が動き始めました。この時やっと脱ステへのこだわりを手放すことができたのです。
     ちょうどその頃、幸運にも、信頼している方から標準治療を勧めていただき、友の会で常任顧問をされている江藤隆史先生を紹介していただきました。(つづく)

     

     

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