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    第632号

    アトピー性皮膚炎の治療薬の整理とこれからの治療の展望②
    ~外用剤、治療薬の整理~

    獨協医科大学医学部皮膚科学講座主任教授 井川 健先生

    外用剤の評価

     薬物治療に関しては、いろいろな新しい薬が使えるようになりました。ただ、今までに何もなかったのかというと、そうではなくて、抗炎症外用剤が今でもアトピー性皮膚炎治療の中心です。ステロイドをしっかり塗ると、ほとんどの患者さんは本当に良くなって、日常生活に問題ないというところまで到達すると思います。ただ、中には、ステロイド外用剤を使って良くなっても、その良い状態が安定しない患者さんがいらっしゃることは課題でした。しかしながら、外用療法はやはり、新しい薬がたくさん出てきた時代になっても、まだまだアトピー性皮膚炎治療の基本と考えています。
     外用療法は、全身に与える影響が最も少ない薬剤投与法だと思います。安全性が非常に高いと思われます。そのうち、1年に1本注射を打てば良い、というような時代がくるかもしれませんが、この先数年単位で考えれば、外用剤なしでのアトピー性皮膚炎の治療はまだまだ難しいと感じています。
     繰り返しになりますが、1950年代に登場した外用ステロイドは、今でも治療の中心です。1999年にタクロリムス軟膏が発売され、2020年には、さらなる新しい機序をもつ外用薬が発売されました。

    ステロイドの利点

     外用ステロイドはいろいろなことが言及されている薬物ですが、皮膚の炎症反応には非常によく効く薬です。大きな特徴として、炎症抑制効果の強さのバリエーションに富んでいることが挙げられます。ほぼすべての重症度のアトピー性皮膚炎に的確な薬が見つかります。これが非常に良いところだと思います。連用による局所副作用や、外用剤だけでは限界と思われる患者さんがいらっしゃるなどの事情はありますが、総体的にみれば、それでもやはり良い薬と思います。
     タクロリムス(外用免疫抑制剤)も非常に良い薬です。ステロイドは連用すると顔が赤くなるなどの副作用がありますが、タクロリムスだとそのようなことがあまり起こらないのは良いところです。ただ、塗るとチクチク、ピリピリすると感じる患者さんが思ったよりも多く、非常に良くはなるけれど、ピリピリ感が強くてなかなか継続し難いという患者さんも時々いらっしゃいます。
     ステロイドというのは、基本的にアトピー性皮膚炎のいろいろな機序を全部を緩やかに抑えて効果を発揮する薬ですが、患者さんによっては、何の問題もなく非常に良くなって、その後のコントロールもすごくらくにできる方がいらっしゃる一方、なかなか安定せず、診察毎にぎりぎりのところでやっているような患者さんもいらっしゃいます。

    アトピー要因と薬の開発方針

     このように患者さんによってステロイド外用剤による治療効果に違いがみられる一つの理由は、アトピー性皮膚炎としての見た目はあまり変わりない慢性の湿疹反応であったとしても、その背景にあるメカニズムが、患者さんごとに全然違う、ばらばらであるということではないか、と考えられます。人種の違いや、同じ患者さんでも小児の時と大人になった時とでは皮膚の炎症反応の機序が違うことがあります。同じような治療をしたとしても、それに対する反応性がばらばらになることも納得できると思います。
     さて、ばらばらなものを、そのまま見ていてもなかなかうまくいきません。皮膚科学会では、いろいろ検討して、アトピー性皮膚炎のメカニズムをまとめたガイドラインを出しています。
     まとめると、今現在、ほとんどすべてのアトピー性皮膚炎の患者さんに共通する要因としてあるといわれているのが、皮膚のバリア機能障害です。要するに皮膚がカサカサしやすいということになると思います。あとは、Type2炎症といわれるアレルギー性の炎症反応が起きやすいということだと思います。さらに、かゆみが自覚症状としてあります。皮膚のバリア機能障害・炎症・かゆみの三つが互いに行ったり来たりして、アトピー性皮膚炎の症状を形作っており、この三つはすべての患者さんに多かれ少なかれ存在すると考えられています。
     少なくとも、機序として存在するだろうというところをターゲットにすれば、それは病態特異的なものになり、余計なところに対しての影響は最小になり、そうすると安全性は向上すると思います。そういう治療薬の開発方針がベースになって、今、新しい薬が出てきている状況です。
    (2023年11月12日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 平野)

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