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    第632号

    小児アレルギーのトピックス2023②

    東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科教授 勝沼 俊雄先生

    小児ぜんそくの診断と最新治療の概要

     ぜんそくかどうかの確定は、アレルギー素因があるか、別の疾患の可能性はないか、という鑑別をした後、診断基準に沿って進めていきます。
     治療ガイドラインでは、重症度に応じて、治療の内容がステップ1、2、3、4と、少しずつ上がっていきます。小児の治療でいちばんベースになるのは、飲み薬のロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)という種類の薬です。吸入ステロイド(ICS)は、年齢によっては優先的に使い、少ない量から重症度によって段階的に量を多くしていきます。あるいは、長時間作用性β2刺激薬が一緒に入っている合剤の吸入薬が使われることもあります。
     昔は、吸入ステロイドの効果がない場合、炎症を全体的に抑制する経口ステロイド薬を服用するという選択肢でした。気管支粘膜は、さまざまな細胞・分子が絡んでおり、今日、さまざまな炎症のメカニズムが解明され、それをブロックすることでより安全に効果を発揮してくれるさまざまな新薬が出ています。重症患者では、分子をピンポイントで狙う生物学的製剤の注射薬が経口ステロイド薬よりも上位の位置づけになっています。
     例として13歳の重症ぜんそく児をご紹介します。2歳でぜんそくを発症しました。中学生になっても入院することがあり、呼吸機能は悪く、気道過敏性も非常に亢進していて重症でした。夜は苦しくて眠れない、だから朝起きられず遅刻する、あるいは疲れて早退する、部活ができないといった著しいQOLの低下がありました。標準的な治療を受け、それに加えて毎日β2刺激薬を吸入していました。
     そこで、次のステップとして、アトピー性皮膚炎でも使われるデュピルマブ®を開始しました。さまざまな生物学的製剤の選択肢がありますが、ぜんそくの特徴や費用、注射の本数などを考慮してこの薬剤に決定しました。
     使用を始めて3カ月後の検査では、炎症や気管支粘膜の傷害の指標となる検査数値も良くなっていました。呼吸機能も改善し、気道過敏性も改善していました。何より夜も眠れるようになり、部活(陸上)を含めた学校生活を謳歌できるようになりました。

    小児ぜんそく対策の基本

     生物学的製剤は、非常に重症なぜんそく患児にも、人生が変わるほどの効果をもたらす印象があります。しかし、その前には、正しいステロイド吸入ができているか、手技を必ず確認することが、最も重要な前提となります。
     ステロイド吸入を正しく行うことはとても大事です。一般的に、吸入手技は自己流に乱れていきやすく、定期的に確認することが大事です。確認するだけで良くなるぜんそく患者さんは大人も子どもも大勢いらっしゃいます。
     ぜんそく以外のゼーゼーする疾患(慢性副鼻腔炎、胃食道逆流症など)を見逃さないことも重要です。私どもの調査では、いわゆる重症でコントロール不良な135人のうち、本当に注射が必要な子は3人、つまり約2%にすぎませんでした。鑑別診断と吸入手技の確認・是正が重要であることを物語っていると思います。
     また、防ダニ布団カバーの使用などで、室内のダニを減らすことによる抗ぜんそく効果も学術的に示されています。
     ぜんそくの治療は、以前に比べると隔世の感がありますが、受動喫煙、ダニといった普段の生活での悪化因子への対策、吸入手技の確認、こういった基本が非常に大事であることは変わりません。
    (2023年11月12日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 庄田)

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