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    第633号

    皮膚を通じて患者さんに寄り添うひふのクリニック人形町

    アレルギー専門病院めぐり 49

    元東京慈恵会医科大学教授であり、当会顧問の上出良一先生が2014年に開業された「ひふのクリニック人形町」を訪問し、お話を伺ってきました。

    (※アイキャッチ画像は上出先生とマスコットのもこちゃん。受付には各疾患の解説動画のQRコードがあります)

    クリニックの特徴

    ●皮膚を通じて患者さんに寄り添う~三つの「みる」~

     皮膚はいろいろなサインを出しているので、皮膚をただ見るのではなく、皮膚の状態をよく「観る」。患者さんを取り巻く環境などを含めた全体像を「診て」皮膚への影響を把握し、良い治療へつなげる。スタッフは「看る」を心がけています。

    ●全人的医療~患者さんの背景も含めて~

     患者さん全体をとらえた全人的医療を提供しています。根拠に基づく医療(EBM)だけでなく、見た目が気になる病気のため心身医学的アプローチが重要なので、対話に基づく医療(NBM)も大事にしています。

     医師と看護師、受付スタッフのチームで患者さんのことを把握しており、より良い治療へ結びつけています。

    ●外用薬の塗り方から生活指導まで

     皮膚病は症状が見えてしまうため、心理的ダメージが大きいです。なるべく早く・きれいに・適切な治療費で、治療方針、治療選択、治るまでの見通しをお伝えし、外用薬の塗り方の指導、生活指導を行い、患者さんの納得のいく治療を心がけています。

    アトピー性皮膚炎治療に対する考え

    ●新規全身治療薬を積極的に使用

     新規全身治療薬である注射(バイオ製剤)、内服薬(JAK阻害薬)を積極的に使用しています(デュピクセント注射、ミチーガ注射、アドトラーザ注射、オルミエント錠、リンヴォック錠、サイバインコ錠を使用できます)。

     それぞれの薬には特徴があり、その性質を知っていることが非常に重要です。費用も含め、患者さんのご希望を聴きながら治療を選択します。
     全身治療薬を使って皮膚の状態をコントロールし、ステロイドの使用を最小限にすることを視野に入れています。デュピクセント注射を5年間使った場合、保湿や非ステロイド薬だけでコントロールできている患者さんが6割、ステロイドは使っても限局的に、たまに使用する患者さんが4割です。

    ●上出先生とアルパカのもこちゃんのYouTube

     病気や治療に関しての正しい情報提供をしています。情報を正しく取捨選択できるリテラシーを高めるのが大切ですね。自分の内面を見ることも大事ですが、視座を高く俯瞰して見られるようにして、幅広く情報収集し、柔軟な知恵で、行動つまり治療へと結びつけることが大切です。

    ●アトピーカフェ

     白衣を脱いで、患者さんからの生の声を聴き、正しい情報を提供するため、慈恵医大にいた1995年からアトピーカフェを続け、人形町に来てからは100回の開催を迎えました(現在月1回、日曜の20時からZoomで開催)。最新情報もお伝えし、ご質問にわかりやすくお答えします。また、参加者のみなさん同士で話すことで、アトピー性皮膚炎治療のより良い方向性を見出していきます。アレルギーとの関係、かゆみ、睡眠、メンタルケアなどなど、アトピー性皮膚炎のすべてを気楽な雰囲気で学べますので、ぜひご参加ください。

    取材を終えて

     上出先生は、新規全身治療薬を使ってたくさんの患者さんを治療されてきた実績があり、治療はもちろんのこと、患者の気持ちにも寄り添ってくださると感じました。アトピーカフェで、診察以外でも生の患者んさんの声を聴いていらっしゃるからこそなのだなと感じました。

    (担当 大塚)

    ひふのクリニック人形町
    東京都中央区日本橋人形町
    2―2―3 アライヴ人形町3F
    TEL 03―6661―1276

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