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    第634号

    喘息治療 薬物治療の前に知っておくべきこと②

    東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科教授 松瀬 厚人先生

    ゼーゼーの原因は意外なものも

     失敗談を少しお話しします。50代の男性患者さんです。車を運転中に突然咳が出るようになって、その後、苦しくなったということです。大学病院に来る前に何カ所も回って、ぜんそくと言われたけれど治らずに、紹介されてきました。しかしぜんそくとしては決定的におかしいところが一つあります。車を運転中に突然ぜんそくになるなんて、あり得ない。
     原因は何だったかというと、昆布でした。ヒントは、この患者さんは漁業無線士の方で、身近に昆布があったのですが、これをかみながら車を運転していて、急ブレーキを踏んだら、昆布が肺の中に引っかかったのですね。ここに詰まったがために、空気の流れが妨げられてゼーゼーし始めた。昆布は両端が尖っているので、気管支で引っかかると、押しても引いてもびくともしません。内視鏡で何回も挑戦したのですが、全く取れない。
     結局、全身麻酔をかけて、外科の先生が昆布を抜きました。取れた瞬間から、呼吸困難も咳嗽(がいそう)も喘鳴も良くなりました。当たり前です。
     これは、実は研修医の先生がまじめにしっかり問診をしてわかったという恥ずかしい症例です。やはり問診が大事です。

    ぜんそくと心臓の病気

     これも間違えた症例です。この方はぜんそくはあり、お兄さんがぜんそく発作で亡くなったという家族歴があったので、私たちは、彼女は重症ぜんそくと思い込んでしまった。最初は確かにぜんそくだけだったのですが、途中から何をやってもだめになりました。常にゼーゼーしています。そこでほかの病気を考えずに、どんどん薬ばかり増やしてしまいました。ある時、いよいよひどくなってレントゲンを撮ったら、心臓が非常に大きくなっていて、いわゆる心不全、心臓ぜんそくだった、ということです。水がたまって、ゼーゼーしていたのです。
     ですから、最初にしっかり診断することも大事ですが、途中でうまくいかなくなった時に、もう一度、ぜんそくだけでいいのか、考え直すことが大事です。

    大発作は回避できることも多い

     次に、ぜんそくと診断された人たちがどういう原因で発作を起こしたかについて調べた、長崎県のアンケート調査を紹介します。まだまだ多くの方が亡くなり、人工呼吸になっていた時代のものですが、二つのことがわかりました。
     いちばん多い原因は風邪です。風邪は万病の元で、ぜんそくに限らず、ほかの多くの病気でも風邪はいちばんの増悪の原因です。ただ、それはなかなか避けられない。
     しかし、2番目以降、命にかかわるような大発作の原因は、すべて回避可能なものばかりです。アスピリンぜんそくの患者さんに熱冷まし、痛み止めを使ってしまった。強いにおいで起こるぜんそくがある方が、白髪染めを使えばいつも発作が起きていたのに、風邪で調子が悪い時に白髪染めを使ってしまった、ということもあります。

    原因はお好み焼き粉のダニ

     別の症例ですが、ご自身がまさかと思っていたものが原因で起きる発作もあります。この患者さんは、夕食後に息が吸いにくいという感じでみえたのですが、意識は混濁して全身が真っ赤で、呼吸困難の症状がありました。ぜんそくというよりは、強いアレルギー、アナフィラキシーです。よく聞いたところ、お好み焼きがその日の夕食のメニューでした。どこが良くなかったか。使ったお好み焼き粉は「徳用」だったので、何回も使っていて、輪ゴムで開封口をくくった状態で室温保存されていました。
     検査をしたところ、新品のお好み焼き粉では全く反応が起こりません。残っていたお好み焼き粉では陽性になって、この方はハウスダスト、ダニにアレルギーがありました。
     つまり、お好み焼き粉の中に入り込んだダニを食べてしまった。わが国のような高温多湿の環境では、室温で放置すると、ダニが入ります。ぜひ、ご自身やご家族がアレルギー体質でしたら、お好み焼き粉などの粉類は、使い切るか、徳用を買うのであればジッパー付き保存袋などで密封し冷蔵していただきたいと思います。
    (2023年11月12日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 増谷)

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