(アイキャッチ画像は会場案内をする高校生ボランティア)
去る5月26日、「第96回 アトピー性皮膚炎・小児食物アレルギー・ぜんそく 講演会とQ&A」に参加してきました。僭越ながら感想を書かせていただきたいと思います。
今回私がこの講演会に参加して思ったことは、
1 専門家は正しい情報を患者に速やかに発信すること
2 当事者は情報を得るよう心がけること
が、いかに大切かということです。
私は生まれてからずっと卵と乳アレルギーで、乳でアナフィラキシーを起こしたことがあるため、完全除去を続けてきました。かかりつけの医院(アレルギー科も標榜)では、「そのうち治っていくよ」と言われていたので、特段治療というものは受けませんでした。
小学校高学年で乳アレルギーはなくなったのですが、卵はなかなか数値が下がらないので、今でも基本除去を続けていた中、母がどうにかして卵アレルギーが良くならないかと、いくつかの病院に「高校生でも経口負荷試験をしていただけないでしょうか」と聞きまわってくれたのです。
そして2年ほど前に信頼できる先生と出会い、それから少しずつ少量を食べて慣れるようにしてきました。炒り卵を耳かき1さじからです。今ではスティックパンを食べられるようになりました。これでも大進歩なのです!昔は卵が体に入ってしばらくすると、アレルギー症状が出ていましたから。
どうやら母はテレビで、今は食物アレルギーは食べて治す、というような番組を何度か目にしたようで、高校生の私でもできる治療はないかと考えたようです。高校生だと言うと、ほとんどの病院に断られ、藁にもすがる思いで、唯一「来てみてください」と言ってくれた病院に向かいました。そこで、少しずつ卵を食べる方法を教わり、今でも実践しています。そうするとどうでしょう、目の前がぱっと開けたように、食の選択肢が増えていったのです。食べていなかったので卵は得意ではないですが、「食べられるけど食べない」というのと「食べられない」では全く違います。以前は原材料に「卵」とあるとすべてがだめでしたから。
母がつかんだ情報で、私の生活は変わりつつあるのです。
このことから、冒頭に書いた、「当事者は情報を得るよう心がけること」が非常に大事だということがわかります。母が番組を見つけ出さなかったら、今でも私はスティックパンを食べられていません。
でも、それには「専門家は正しい情報を速やかに発信すること」が必要です。もし、かかりつけ医が「今までは完全除去だったけど、最近は食べて治すのが主流になってきているよ」と声をかけてくれれば、もっと早くに今の状態になっていたかもしれません。
今回の講演会で、アトピー性皮膚炎にしろ、ぜんそくにしろ、食物アレルギーにしろ、とにかく医療の供給側に、患者向けに正しい情報の発信をしてほしいということを強く思いました。
アトピー性皮膚炎などは、自分がそうだから、子どももそうでも不思議はないよね、と積極的に治療を考えない親御さんもいるかもしれません。その際に、「今しっかり治さないと、後々ぜんそくや食物アレルギーにつながることがあります」の一言があるだけで、救われる人もいるのですから。
その発信された情報を受け取る場所も、病院だけでなく、少なくとも教育機関を含む公共機関にポスターを貼るなど、大きく広げていくべきではないでしょうか。小学校の時は健康関連のポスターが保健室の前にたくさん貼ってありましたが、高校にはほとんどありません。
目につく機会を増やすことで、関心をもつ人を増やせる。そして理解してくれる人が増えていくのだと思いますので、今後もこういった講演会などを動画サイトに投稿したり、SNSを使って発信をしていくことが重要だと思いました。
(レポート 石田)
講師・常任顧問と講演会ボランティア