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  • 2 0 1 9

    第574号

    喘息が重症化しやすいタイプは?
    治療はどうするか!①

    東京女子医科大学呼吸器内科教授・講座主任 多賀谷 悦子先生

    ぜんそくの患者数と病気の特徴

     この30年間で、小児・成人を含むぜんそく患者数は3~5倍に増えています。半数以上は子どもの頃にぜんそくと診断されていない人で、大人になってぜんそくになった、成人発症です。

     ぜんそくには二つの特徴があります。一つめはアレルゲンによる発作的な症状です。ぜんそくは、咳とか痰、ゼーゼーが発作的に起こります。気道の平滑筋という筋肉が収縮することによって気道が細くなり、ゼーゼーという音がします。通常、Ⅰ型アレルギーといいますが、アレルゲンが体内に入ってくると、15分から20分くらいで苦しくなります。しかし吸入などをすることで1時間以内に治まります。つまり、アレルゲンの反応が治まると元の状態に戻る病気で、可逆性です。

     二つめに過敏性です。気道がちょっとした刺激で狭くなりやすいことをいいます。気道は冷たい空気に弱く、上皮がはがれ落ち、刺激に敏感となり咳が出ます。冬の冷たい空気に触れると苦しくなる、もっと過敏な人になるとスーパーの冷凍食品売り場や、冷房がきいているところで冷たい空気を吸うことで苦しくなります。普通の人が起きないような刺激で過敏に発症するのです。

     ぜんそくは発作性、可逆性、過敏性、この三つが特徴です。これを覚えておいてください。

     

    スライドを使っての講演

     

    ぜんそく患者の死亡率

     この30年間で患者数は3~5倍に増えていますが、死亡率はどうでしょうか。実は15年でぜんそくによる死亡率は4分の1に減っています。

     2016年、ぜんそくによる死亡者が1,454人、そのうち軽症は7%、中等症は30%です。重症患者だけが、ぜんそく死するわけではないのです。自分は軽症と思っている人や中等症でも治療をしないと、ぜんそく死につながります。治療しなくてはいけない患者さんが増えているのです。

     1991年にアメリカの国立衛生研究所で、ぜんそくの病態は炎症ということがわかって、1993年より、日本のガイドラインでも吸入ステロイドがぜんそくの第一選択薬となり、1990年代頃より抗炎症薬による治療が主流となりました。

     2009年、ぜんそくで初めて抗体製剤、生物学的製剤、抗IgE抗体製剤(ゾレア)ができました。IgE抗体は、外から入ってきたアレルゲンに対応するため体内で産生され、アレルゲンに結合してアレルギー反応を起こします。この発見は約50年前、石坂公成・照子先生によるものです。石坂先生の功労によってアレルギー、アトピーの診断ができ、重症ぜんそくの治療が可能となりました。

    ぜんそくの治療方法

     ぜんそく治療の第一選択薬は吸入ステロイドです。吸入ステロイドにはミストタイプと、ドライパウダータイプがあります。ミストタイプは、シューッと出てくるミストに合わせてゆっくりと吸います。パウダータイプは、思い切り吸いこみます。

     吸入のやり方がうまくいかないと、吸入したステロイドが口の中の粘膜につき、菌が繁殖したりカビが発生したりし、喉がガラガラしたり、声帯のところにカビがつくことによって声が枯れたりします。吸入の後は必ずうがいをします。外出先でうがいをするのが難しい人は、吸入の前に水分をとって、口の粘膜を湿らせておきます。吸入後に、また水分をとってください。それも難しい人は、食事の前に吸入し、食後の歯磨きをする時にうがいをします。

     ぜんそくは炎症によって気管が収縮する病気なので、抗炎症薬のステロイドと気管支拡張薬の二つが治療の主体です。最近はこの二つが一緒に入った吸入薬も出ています。

     気管支拡張薬のβ2刺激薬は、自律神経の交感神経を活発にします。ぜんそくは副交感神経が優位になっているので、副交感神経をおさめて交感神経をアップしてあげます。交感神経をアップする薬と、副交感神経をリラックスさせる抗コリン薬を使って治療します。また、3種類が1本に入った吸入薬もこれから出てきます。

     毎日の吸入を忘れずに、適切なやり方で続けることが大切です。

    (2019年6月2日 日本アレルギー友の会講演会より、採録冨澤美穂)

     

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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