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  • 2 0 1 9

    第574号

    ここまで進歩したアトピー性皮膚炎治療①

    NTT東日本関東病院皮膚科部長 五十嵐 敦之先生

    ★アトピー性皮膚炎とは★ ―名前の由来―

     アトピー性皮膚炎という名前はサルツバーガーという皮膚科医が、皮膚炎を分類しようと、アレルギーに関係しているがよくわからない湿疹という意味で「アトピー」とつけたらしいです。「アトピー」はラテン語で「奇妙な」、「とらえどころのない」というのが元の意味だったそうです。

    ★発症時期と特徴★

     アトピー性皮膚炎は子どもの病気というイメージがあり、幼少時や生後間もなく発症する方は多いです。しかし、成人の方も非常に多く、私の患者さんも、40代、50代がいちばん多いのではないか思います。つまり、成人でもずっと病気をもち続けているという感じです。

     乳児期に発症すると、関節の屈曲部、首の付け根などに湿疹が目立ちます。離乳食でいろいろ食べ始めると、よだれや食べこぼしがつくため、口のまわりが荒れやすくなります。

     アトピー性皮膚炎にはドライスキンがついて回りますが、もともと小学3~4年生くらいまでの子どもは性ホルモンの影響を受けないので皮脂の分泌が少なく、乾燥しやすいのです。そこにアトピー素因が加わるので、さらに乾燥します。ですから、乾燥を防ぐスキンケアは大事です。

     もう少し大きくなると、関節の屈側、顔面、頸部に乾燥部位が出てきたりします。じんましんはひっかくとそこが赤くミミズ腫れになりますが、アトピー性皮膚炎の方は、ひっかくと、そこが白くなります。背中に症状がある場合は背中の真ん中へんだけきれいだったりします。背中の真ん中は手が届かないので、かけないために皮膚の症状はそこまで悪くならないのです。つまり、ひっかくことは良くないのです。アトピー性皮膚炎は子どもの病気で、成長するとだんだん良くなりますが、ご高齢の方でも一定の割合でアトピー性皮膚炎の方はいらっしゃいます。

    ★治療薬の歴史とガイドライン★

     アトピー性皮膚炎の治療薬は新薬が多くはありませんでした。ステロイドは1950年代に登場し、1999年にタクロリムスが出ました。その約10年後にシクロスポリンがアトピー性皮膚炎に使えるようになりました。しかし、その後約10年間、生物学的製剤のデュピクセントが出るまでは新薬はなかったのです。

     日本皮膚科学会のガイドラインでは、アトピー性皮膚炎の治療のアルゴリズムとして、基本的にはスキンケアを軸に、ステロイドやタクロリムスの外用療法をし、良くなったら寛解を維持することとしています。寛解維持療法はとても大事で、プロアクティブ療法が最近は提唱されています。補助的療法の中には、抗ヒスタミン薬なども挙げられます。

     重症の方は、強いステロイドの使用や、シクロスポリンの内服や紫外線療法などいろいろありますが、これだけでうまくいかない方もいらっしゃいました。一方、アレルギー学会でも、もう一つのガイドラインを出しています。昨年、両学会で合同のガイドラインを出したのですが、こちらのガイドラインは、重症例では、ステロイドの内服薬やシクロスポリンまでは書いてありますが、先ほどのデュピクセントのことはまだ書かれていません。

     

    スライドを使っての講演

     

    ★アトピー性皮膚炎の原因★ ―バリア機能―

     アトピー性皮膚炎の要因は、一つには遺伝的要因があり、そこに環境要因が加わってきます。遺伝的な体質だけでこの病気を発症するわけではなく、アレルギー反応を起こしやすい物質や、乾燥などが加わって発症するのです。

     皮膚のバリア機能低下は発症要因の一つとして提唱されています。フィラグリン異常はその一つで、アトピー性皮膚炎の方は健常者と比較して、フィラグリンに少し異常があるために、バリア機能が落ちるので、皮膚炎を起こしやすいことも示唆されています。

     バリア機能がしっかりしていれば、中から水分が抜けず、外からのアレルゲン物質や微生物が入ってこないようにできます。バリア機能が落ちると水が抜けて、皮膚が乾燥しますし、ウイルスの感染症(単純ヘルペス)や細菌感染症(とびひ)にもなりやすいのです。ですからアトピー性皮膚炎の方はこういった感染症にも弱いということになります。

    (2019年6月2日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 大西)

     

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
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