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  • 2 0 1 9

    第575号

    ここまで進歩したアトピー性皮膚炎治療②

    NTT東日本関東病院皮膚科部長 五十嵐 敦之先生

    ★食物アレルギー★

     食物アレルギーについて少しお話しします。アトピー性皮膚炎の患者さんは食物アレルギーを合併する方が多いですが、食物アレルギーを起こす原因として、昔は食べたもので感作されるといわれていました。たとえば小さいうちは消化管の発達が未熟なので、摂取したタンパク質が十分に消化されないまま吸収され、それが抗原となって感作されてしまうという説がありました。でも今では逆に皮膚で感作されると考えられるようになっています。

     つまり、まず皮膚に物質が付着し、それで感作されることによって食物のアレルギーが成立するということです。それを示すさまざまな事象がありますが、たとえば少し前に「茶のしずく石けん」による小麦アレルギーがありました。加水分解小麦という小麦の成分が入っている石けんを使っていた方が、ある日うどんを食べたら急にアレルギー症状が出てしまった、というものです。

     また、以前はアレルギーを起こす食品は消化管が十分に発達する年齢まで食べないほうがいいのではないかといわれていましたが、これもそうでないことが海外の調査でわかっています。たとえばイスラエルとイギリスでピーナツアレルギーを調べたところ、イギリスのほうが多いのですが、イスラエルの子どものほうが小さい時からピーナツを食べています。このことから摂取をあまり遅らせるのは良くないのではないかと考えられています。

    ★スキンケアの大切さ★

     部屋のほこりを調べてみると、卵や小麦といった分子量の大きなアレルゲンが混じっています。これらは、バリア機能が正常な皮膚は透過しませんが、アトピー性皮膚炎でバリア機能が低い皮膚は透過してしまいます。

     ここでスキンケアの重要性が出てきます。アトピーの素因のある子は皮膚のバリア機能が落ちていますから、幼少期からスキンケアをすることが大事で、それがひいては食物アレルギーの発症も防げるのではないかといわれるようになっています。つまり予防的観点からもスキンケアは重要です。スキンケアを小さい時からしっかりとやっておくことは、経皮感作を防ぎ、アレルギーマーチの減少につながる可能性があります。

     これを証明したのが堀向健太先生の論文です。乳児に保湿剤をしっかり塗った群と、そうでない群を比べると、アトピー性皮膚炎の発症が3割も違ったというデータです。これは、先ほどの仮説を裏付けるような面があり、あらためてスキンケアの重要性が証明されました。

    ★プロアクティブ療法★

     アトピー性皮膚炎の外用療法で良い状態までもっていくことはそれほど難しくありません。むしろ、良くなった状態を維持していくのが重要なのですが、それがうまくいかない方もいます。ここでプロアクティブ療法というのが重要になってきます。

     2016年のガイドラインにも記載されていますが、ステロイドやタクロリムス(プロトピック)など、抗炎症作用のある薬を使うのが肝です。保湿剤だけだと再燃してしまいます。ただ、ずっと塗っていると、ステロイドで皮膚が薄くなるなどの副作用が心配なので、週に2回程度塗るなどの形で使っていきます。

     良くなったら薬を塗る間隔を少しずつあけていきますが、良くなったばかりのところは、見た目はきれいでも組織学的には炎症が残っています。良くなると、ステロイドが怖いということでやめてしまう方がいますが、そうすると容易にぶり返してしまいます。ここはコツが必要で、しばらくはしっかりと薬を塗ります。現在、プロアクティブはかなり使われるようになっていると思います。

     プロアクティブ療法のまとめです。

    ・プロアクティブ療法は、ステロイド、タクロリムスとともにアトピー性皮膚炎に有用だといわれている。

    ・プロアクティブ療法は皮膚のバリア機能を整えてくれるので、食物アレルギーを改善する可能性もある。

    ・ステロイドの長期的な安全性については多少気になるが、週に2回程度の外用では問題はなさそうである。

    ・医療経済的にも優れている。結局はプロアクティブ療法のほうがステロイドの外用量も少なくてすむことを示すデータも出ています。

    (2019年6月2日 日本アレルギー友の会講演会より、採録石塚朋子)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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