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  • 2 0 1 9

    第575号

    デュピクセントを使用してみて

    池上 裕子

     去年(2018年)の4月より新薬「デュピクセント」が認可され、大きな病院での治療を受けられるようになりました。バイオ(生物学的)医薬品で、今までの対症療法とは異なり、アレルギーを起こすTh2細胞から出される伝達物質:サイトカインIL4/13が受容体に結び付くのを阻害することで、アレルギー反応を抑制する働きがあるそうです。私は昨年7月よりこの治療を受けるようにしました。

     私個人としては、待ちに待った薬です。というのも、当会常任顧問の坂本先生より、「ぜんそくは吸入ステロイドで良くなった患者さんが多い。アトピーの人はあと5年待ってほしい」と以前言われたことがあったからです。良い薬ができるのかなあと、漠然と思っていました。

     ステロイド軟膏・保湿剤・飲み薬に併せて、光線治療を7~8年やっていました。光線治療で発疹はずいぶん減り、かゆみも少なくはなっていました。

     また、治験をやってみないかと、2~3年前に主治医(逓信病院)から言われたこともありました。ただ、治験をする前2週間、完全に軟膏や飲み薬を絶たなくてはいけないので、せっかく今まで苦労してやっとの状態を保っていたので、2週間薬が使えないことでの悪化を考えると恐ろしく、また、プラセボ(2割のニセ薬)に当たった時、今よりひどくなる恐れもあり、申し訳ないのですがお断りしました。

    使用にあたって

     始めに、治療を受けるにあたっての注意をお聞きしました。2週間ごとの注射のために通院が必要、初回は2本の注射、それ以降は1本、1年後には自分で注射できるようになる。副作用としては結膜炎と、免疫機能が少し落ちるかもしれない。だいたい8週間で効果がわかる。1年後に自己注射ができるようになると、一度に6本まで出せるのでコストが安くなる。治療費がかなり高額になるので高額療養費の申請を。ほかの薬で使えなくなるものはない。ステロイドや保湿剤などの従来の治療も併せて必要。などなど。

     併せて患者指導用資料をいただき、薬が来るのを待っている間に読みました。その時、以前何かで読んだ、白血病の患者さんが骨髄移植を受ける時に感じた、自分の中に生命が入ってくる、という言葉を思い出しました。アトピーは命にかかわる病気ではありません。それでも、それまでの通院とそれに使った時間、ひどかった時のことなどを思い出し、これから変わるかもしれないことに期待していました。

    1回目の注射

     表皮と筋肉の間にある脂肪(私にはたくさんある!)に打つそうで、腕にしてもらいました。1回目は2本の注射で右左両腕にしてもらいました。支払いは約5万円。高いです。

     とくに変化はなく、夜はいつもの通りに入浴して、保湿剤、ステロイド、プロトピックを塗りました。次の朝も相変わらず、足(ひざのあたり)がいつも通りちょっとかゆいな…でも、足を触ってみて驚き!しっとりしています。前の日に塗った保湿剤がまだ残っている!

    2回目の注射以降

     主治医に、しっとり感が続き、かゆみはちょっと減ってきたこと、発疹や皮膚の赤みはなくなってきたこと、湿疹はポチポチと数カ所1センチくらいのが、足やおなかなどに全部で10カ所くらいあること、プールで泳げた(塩素に反応するので以前は無理だった)こと、庭のトマトを素手で取っても何ともなかったことなどを伝えました。かゆみがうんと減るケースが多いが、私の場合は光線療法をやっていて、それほど強くなかったからでしょう、と言われました。また、結膜炎になることがあると言われ、そういえば、目がかゆいということも伝えました。

    結膜炎…

     目がかゆくてどうしようもない時が、6週目にありました。やっぱり…!プールに行った後から目やにがひどくなり、かゆみ止めの目薬パピロックミニ(シクロスポリン)を使用しましたが、ますますかゆくなり、まぶたが真っ赤に腫れ、痛くなることがありました。

     近くの眼科へ行き、デュピクセントを使用していることを伝えたら、アレルギーか炎症かわからないと、抗菌眼軟膏が処方されました。3日後、眼軟膏をつけると目がひりひりし、痛みと腫れがひどくなっているようなので、使用を中止しました。この軟膏にも反応していたようです。次の日は目のまわりのみが赤く腫れて、目やには減ってきました。

     その後、いつも行っている病院の眼科を受診しました。「ヘルペスや雑菌の炎症ではなく、眼球は心配ない、アレルギーかも…緑内障があるのでステロイドは使いたくない…が、やっぱりステロイドにしましょう!」と、ロコイド軟膏が処方されました。1日に1~2回少し使ってください、とのこと。次の日には、ずいぶん治まってきました。

    8週間たって

     かゆみのある7~10ミリの湿疹が、体全体で7~8カ所出ていました。かゆみは結構あります。皮膚のしっとり感は続いていて、ステロイド軟膏の使用がぐっと減ってきました。デュピクセントの効果は出ているとのことです。

     プロアクティブのように体全体にステロイド軟膏を使ったほうが良いか主治医に聞いたら、そこだけ塗って良い、とのことでした。秋は、いつもはプロペトを使わないと乾燥が抑えられなかったのですが、いつも使っているヒルドイド軟膏で十分でした。洗濯が楽だなあ~と思っています。

     先日、機会があって、TARCを測ってもらいました。7~8年くらい前に測った時は10,000でしたが、今回は何と660!驚きの数字でした。

    注射の間隔をあける

     2週間おきに注射をしていますが、主治医より、「少し間隔をあけても変わらない人が多い。5週間あけている人もいる」と聞き、3週間おきにするように試しました。ところが2週間と4日目で、右腕がかゆくなり、皮膚もガサッとしてきました。残念!また2週間ごとに戻しました。

    自己注射

     デュピクセントを使用して、早1年になりました。「そろそろ自己注射の練習をしましょう」と主治医に言われ、6月中頃にレクチャーを受けました。

     やっぱり恐怖はありました。「家族にやってもらっても良いですよ」と言われましたが、夫にされるほうがもっと怖い…と、主治医と大笑いしました。自助具もありますが、その使い方が複雑で、そのまま打ったほうがやりやすいようでしたので、使わないことにしました。

     まず、シートの上に、注射器(薬剤入り)と消毒綿、絆創膏を置き、打つところ(私はお腹)の皮膚を消毒し、注射器のキャップを取り、針を45度の角度で刺します。腕に打ってもらうよりお腹のほうが脂肪がいっぱいあるせいか、針を刺す時は痛いのですが、液を入れるのは大して痛くはなく、想像したよりも何とかなりました。

     併せて、保冷剤や注射器を入れるバッグ、説明冊子などをもらいました。一度に6本(3カ月分)出ますので、その月は高額療養費でカバーされ、ほかの2カ月は要らなくなります。

     冷蔵庫で保管し、凍らせてはいけないので、注意が要ります。打つ時は45分前に冷蔵庫から出し、常温にしてから使用します。

     また、注射薬は近所の薬局には普通置いていないので、出してもらう2~3日前には、連絡しておいたほうが良いそうです。薬局では、冷蔵薬のため返品できないので、購入すると伝えた分は必ず購入してほしいと言われました。

     2回目も病院で、自己注射しました。3回目以降は、自宅で行っています。今のところ4回目まで行い、何とかなっていますが、もし失敗したら自己負担が増えるなあ、と心配もあります。

    終わりに

     今まで多量のステロイド軟膏を使用してきたので、皮膚や血管壁が薄く、点滴した時に針が外れて手が紫色に腫れてしまうことが多々ありました。が、この前入院した時は1回液が漏れただけで、後は大丈夫でした。ステロイド軟膏の使用量が以前に比べて格段に減り、皮膚が厚くなってきたのでしょうか。そういえば、ぶつけたり強く擦ったりしても、紫になることが減ってきています。庭仕事も手袋をしなくてもできるようになってきました。もちろん普段は気をつけた生活を心がけていますが、この変化はありがたいです。

     調子の良いのがいつまで続くのか、今までの苦労を思うと今後どうなっていくのか、やはり不安になります。これからますます年をとっていくし、人生の節目節目で悪くなることが多かったので、いつ何が起こるかわかりませんし、安心はしていられません。結膜炎という副作用もあります。また、回数は格段に減ってはいるものの、無性にかゆくなり、かくのをやめられない時も、やはりあります。

     医療費が高額なのも、本当にわが家にはこたえています。薬の開発や製造に大変なコストがかかっていることはよくわかりますし、感謝もしています。健康保険の制度もありがたいです。しかし、家計への打撃は相当なものです。数年後には年金生活になります。そうなった時に、はたして使っていけるのか、使う人が多くなれば安くなっていくのでしょうか。また、現在いろいろな新薬の治験が行われていますが、それらが使用できるようになった時に、はたして医療費はどうなるのでしょうか…。

     期待と不安がごちゃ混ぜになった気持ちです。

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