記事ごとに探す

キーワード

検索する期間

月 から

月 まで

カテゴリ一覧

  • 講演会
  • 編集室
  • 相談窓口から
  • 勉強会・患者交流会
  • 体験記(気管支喘息)
  • 体験記(アトピー性皮膚炎)
  • ニュース(友の会関連)
  • ニュース(一般)
  • その他
  • イベント告知
  • イベントレポート
  • アレルギー専門病院めぐり
  • 2 0 2 0

    第580号

    アトピー性皮膚炎の治療 ―未来に向かって―①

    京都府立医科大学大学院 医学研究科皮膚科学教授 加藤 則人先生

     私が皮膚科医になったのは30年前ですが、当時のアトピー性皮膚炎の診療の現場は非常に混乱していました。それまでは大人になれば治るといわれていたアトピー性皮膚炎が、その頃から成人にも多くみられるようになってきました。また、アトピー性皮膚炎が起こるしくみについてもはっきりしたことがわかっておらず、さまざまな論争がありました。その結果、治療法に関してもコンセンサスがなく、何より患者さんにとって好ましくない状況であったかと思います。

    アトピー性皮膚炎の起こるしくみ

     本日は、最初にアトピー性皮膚炎が起こるしくみについて、近年わかってきたことをお話しします。

     皮膚のいちばん表面には、さまざまな刺激から体の内側を守るバリア機能がありますが、アトピー性皮膚炎の方はこのバリアの働きが弱く、皮膚の表面から水分が蒸発して皮膚が乾燥し、いわゆる乾燥肌になります。乾燥肌になると、さまざまな刺激が入り込みやすくなり、それに対して敏感に反応する敏感肌になります。さらに、卵、ダニ、花粉などのアレルゲンも入り込んで、アレルギーを起こすこともあります。

     アトピーはアレルギーの病気ですが、単なるアレルギーではなく、乾燥肌・敏感肌があるという点が重要です。また、ダニや卵といった一つの原因に限らず、敏感肌のためにさまざまなものに反応してしまいます。

     乾燥から皮膚を守ってくれるのが保湿因子というものですが、皮膚のいちばん表面の角層がこれに当たります。角層の保湿因子は、角質細胞間脂質、皮脂膜、天然保湿因子の三つがあります。

     角質細胞間脂質は屋根にたとえると瓦と瓦の間をうめるセメントのような役割をするあぶらの成分で、セラミドと呼ばれるものが主成分です。

     皮脂膜は、毛穴にある皮脂腺で作られるあぶらの膜です。思春期になると、性ホルモンの刺激によって皮脂腺であぶらが作られるようになります。逆に言うと子どもの間は皮脂はほとんどなく、乾燥しやすくなっています。この皮脂膜は瓦の上を覆うビニールシートのようなイメージです。

     そして天然保湿因子はフィラグリンなどのアミノ酸が主成分で、瓦の内側に水分を吸収して、丈夫でしなやかにするような働きをします。

     セラミドなどの細胞間脂質は皮膚炎が起こると減少します。また、フィラグリンのようなたんぱくは、皮膚炎などによって減少し、また生まれつきフィラグリンが上手に作れない体質の方もアトピー性皮膚炎の患者さんの3割くらいはおられます。

    バリア機能の低下

      アトピー性皮膚炎の患者さんの角質は保湿因子が少ないために、バリアの働きが弱くなり、水分が蒸発するとともに、汗、よだれ、衣服との摩擦などのさまざまな刺激が入り込んできます。そのような刺激によって皮膚が炎症を起こすようになります。そしてその炎症によってバリア機能がさらに低下し、患部をひっかくことによってますます湿疹が悪化するという悪循環になります。

     バリアが弱っている皮膚から卵、ダニ、花粉などのアレルゲンが入り込むと、感作、つまりアレルギーが起こってきます。アレルギーが起こると、皮膚炎が悪化するだけでなく、たとえば卵を食べた時にアレルギー症状が起こったり、ダニによってぜんそくが起こるなど、全身性のアレルギーが起こるようになります。

     つまり、最初は皮膚のバリアが弱くて、湿疹になっていたところに、ダニや卵が入り込んで感作が成立し、そのアレルギーによってさらに悪化するということになります。

     アトピー性皮膚炎にはさまざまな悪化因子がありますが、最大の悪化因子は治っていない湿疹があることです。つまり、薬などによる治療で湿疹を良くしておくことは、単なる対症療法ではなくて、アトピー性皮膚炎の最大の悪化因子を減らすという意義があります。

     ある欧米の研究によると、フィラグリン遺伝子の変異があるかないか、つまり乾燥肌になりやすい体質であるかどうかと、食物アレルギーが起こりやすいどうかには関係がみられませんでした。一方、実際に乾燥肌や皮膚炎がある人は、食べ物のアレルギーが起こりやすくなるという結果が出ています。つまり、体質を気に病むよりも、皮膚の状態を良くすることによって食物アレルギーが起こるリスクを減らせるのではないかと考えられるようになっています。

    (2019年10月27日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 石塚朋子)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

    第580号の他の記事

    ボランティア募集

    あなたの“少しの時間”を友の会に!~みなさんの力を必要としています~

    火・土曜日のご都合の良い日、時間にスタッフとして活躍してみませんか。 ①事務所内での庶務作業  事務所で会費納  | 続きを読む |