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    第581号

    アトピー性皮膚炎の治療 ―未来に向かって―②

    京都府立医科大学大学院 医学研究科皮膚科学教授 加藤 則人先生

    治療の目標を立てる

     次に、アトピー性皮膚炎の治療の話に移ります。

     アトピーのようなアレルギー疾患は慢性の病気なので、治療を始める時に、最終的に何を目指すのかという目標を設定して、医師と共有することが大切です。アトピーの場合は、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、その状態を維持することが、目標としてガイドラインに示されています。症状をコントロールした状態を長く維持できれば、寛解、すなわち薬と縁が切れることも期待できます。

     そのような目標に向かうためには、たとえば、まず1~2週間以内にかゆみで眠れないという状態から抜け出し、その状態に達したら、次の2~3カ月にはかゆみを感じない日を多くし、多少症状が悪化しても薬で改善できるようにするなど、段階的に目標を決めながら一つずつクリアしていきます。目標を達成できない場合には、その理由を医師と一緒に考えて解決していくようにします。

    外用剤

     具体的な治療法としては、まず皮膚の炎症を和らげる塗り薬があります。現在はステロイドとタクロリムス(プロトピック)があり、おそらく2020年の春以降に、もう1種類新しい塗り薬が出る見込みです。

     皮膚の炎症を和らげるために世界で最もよく使われている薬がステロイドです。これは副作用を心配する方も多いと思いますが、長期間にわたって大量に使わなければ、副作用の懸念は多くありません。

     どのランクの薬をどの程度塗れば十分に皮膚を良くできるのかという見通しを主治医に立ててもらって治療を行います。また、どのような状態になったら塗る回数を減らすのか、どのような時に受診すべきかを医師に聞いて、十分に理解することが大切です。主治医がそのようなことを言ってくれなければ、みなさんのほうからたずねてほしいと思います。

     タクロリムスは、ステロイドの5段階のランクでいうと中くらいから少し弱めに匹敵する塗り薬です。ステロイドに比べると、皮膚が薄くなる副作用がないので、とくにステロイドの副作用が出やすいといわれる顔や目のまわり、首などによく使われます。塗り始めてから最初の数日間は、皮膚が熱くなったり、よけいにかゆくなるなどの刺激感が出ることが多いため、ステロイドである程度良くしてからタクロリムスに切り替えるようにします。塗り続けていると、徐々に刺激感がなくなり、それとともにかゆみも和らいでいくことが多いと思います。

     塗り薬はどれくらい塗れば良いのでしょうか。ステロイドは、副作用を恐れてごく少量を薄く伸ばすように使う方もいますが、しっかりと塗らないと効果がありません。目安としては、チューブから人さし指の第1関節の長さ分絞り出した量で、手のひら2枚分の面積を塗ります。ティッシュペーパーがはりつくくらいとか、皮膚の溝を覆うようなイメージとか、いろいろな説明の方法がありますが、とにかくしっかり塗る必要があります。

     これらの薬をしっかり使って、良くなったところでスキンケア用の保湿外用剤に切り替えます。もし再燃した場合は、すぐに外用薬を使うというのが基本的なやり方です。

     

    講演の前には記念式典も行われた

    プロアクティブ療法

     ただ、保湿剤に切り替えると再燃してしまう場合もあります。そういう場合に湿疹が再燃する場所を調べると、皮膚の内側にまだ炎症が残っています。残っている炎症を良くするために、一見良くなったように見える場所にも週に1~2回ステロイドやタクロリムスを続ける方法をプロアクティブ療法といい、数年前から広く行われるようになっています。

     これは浜松医大の小児科の先生の調査ですが、小児のアトピー性皮膚炎の患者にまず何週間かステロイドをしっかり塗って、皮膚炎を良くします。良くなったところでステロイドをやめて保湿剤だけに切り替えたグループと、良くなってからも湿疹が治りにくかった場所に週に2回ほどステロイドを使うプロアクティブのグループに分けたところ、週に1~2回ステロイドを使っていたプロアクティブ群のほうが皮膚の状態が良くなったという結果が出ています。

    (2019年10月27日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 石塚朋子)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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