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    第582号

    アトピー性皮膚炎の治療 ―未来に向かって―③

    京都府立医科大学大学院 医学研究科皮膚科学教授 加藤 則人先生

    新薬の登場

     注射薬のデュピルマブも去年から使えるようになりました。これはアレルギー炎症を起こすサイトカインという物質の働きをブロックする薬で、15歳以上でステロイドなどを使ってもなかなか良くならない患者さんに使えます。2週間に1回皮下注射を行います。ステロイドを塗っても良くならない患者さんの多くが、デュピルマブを併用すると皮膚の症状が改善されます。また、かゆみもらくになったという方もいます。

     さらに現在、いろいろな薬の開発が進められており、世界各地で約80種類の新しい薬が開発中と聞いています。これからは毎年のように新しい薬が出てくるでしょう。

    スキンケアの重要性

     次にスキンケアですが、水分が不足しがちな皮膚を保護するための薬剤として、あぶらの膜を作って水分の蒸散を防ぐワセリンのようなもの、角質の水分を増やすヘパリン類似物質、尿素やセラミドのような保湿成分が含まれているクリーム、ローションなどがあります。

     あぶらの膜を作るスキンケア剤は、皮膚が乾燥している時よりも、お風呂あがりのように角質が水分を含んでいる状態で塗るのに適しています。長時間の効果が期待できますが、ベトベトした使用感のため、最近はクリームやローションタイプのものがよく使われています。

     両親のどちらか、あるいは兄弟にアトピーがあって、アトピー性皮膚炎を発症しやすいと考えられる赤ちゃんに、生まれて1週間目から入浴後に乾燥している部分だけにワセリンを塗るグループと、全身に乳液状の保湿剤を毎日塗るグループに分けて経過をみたところ、8カ月後、アトピーを発症した率は、ワセリンを部分的に塗っている赤ちゃんに比べて、全身に保湿剤を塗っているグループのほうが32%低かったという調査があります。そのような意味では、スキンケアは、乾燥肌だけでなくアトピーの発症を予防する効果も期待できるかもしれません。

     悪化因子としては、汗や唾液、ひっかき、石けん・洗浄剤のすすぎ残し、衣服との摩擦などがあり、人によってはアレルギー反応で悪化することもあります。また、ストレスや不規則な生活なども悪化因子になります。これは個人個人によって異なり、また季節や年代によっても異なります。自分で悪化因子だと思っていることが単なる思い過ごしのこともあるので、それが本当に悪化の理由なのかどうかを医師に相談して確かめていただければと思います。

    患者さんと二人三脚で

     近年、ウエアラブル機器や人工知能などが発達し、そのような技術が医療にも取り入れられ始めています。

     一方で、これは乾癬という別の慢性疾患に関する調査ですが、どのようにすれば治療のアドヒアランスを高めることができるか、つまり患者さんに薬を塗ってもらえるかという研究が行われています。次のような方法を実施して、効果を調べました。

    ・皮膚科の医者と患者さんの間で1対1のコミュニケーションをした場合。

    ・ナースと患者さんの間でそのようなコミュニケーションをした場合。

    ・患者さんに資料を渡した場合。

    ・Eメールによるヘルプデスク。

    ・7日目、21日目に、ナースからきちんと薬を塗っているかどうかを確認する連絡をした場合。

     このプログラムを実施すると、治療効果が上がります。つまり患者さんが薬をしっかりと塗るようになるのですが、中でもどの方法がいちばん良かったかというと、皮膚科医と患者との1対1のコミュニケーションでした。

     というわけで、これからも我々医師が患者さんの話を聞いて、皮膚をよく診ながら、患者さんと二人三脚で進んでいくという姿勢は変わらないと思います。

     「アトピー性皮膚炎は治りますか」というご質問をよくいただきますが、良くなる力は誰もがもっています。治療に伴って、また成長や年齢とともに軽快し、やがて寛解していくことが期待できます。

    (2019年10月27日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 石塚朋子)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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