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    第591号

    アトピー性皮膚炎の最近の話題について①

    東京大学医学部皮膚科講師 管 析先生

     今回は、アトピー性皮膚炎の病態、その治療、最近のトピックス、デュピクセントの使用経験例の紹介について、順番にお話ししていきます。

    アトピー性皮膚炎病態について

     アトピー性皮膚炎の診断基準は三つあり、①掻痒、②慢性・反復性経過、③特徴的皮疹の分布があります。②は乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上を慢性とします。③は左右対称性に湿疹の病変がみられることが条件です。上記の3項目を満たすものを、症状の軽い・重いを問わず、アトピー性皮膚炎と診断します。その他は急性あるいは慢性の湿疹とします。

     アトピー性皮膚炎は小児と成人の二峰性に見られる疾患です。いちばん多いのが9歳以下で一つめの波があります。個人のアレルギーの免疫が完成する10歳頃には減少しますが、20~40歳くらいで二つめの波が来ます。45歳を過ぎると自然に良くなっていくといわれています。

    アトピー性皮膚炎の原因

     アトピーの病態には「表皮バリア機能異常」と「免疫異常」という二つの因子があります。はじめに「表皮バリア機能異常」についてお話しします。

     皮膚のバリア機能に関わる、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリンというタンパクがあります。アトピー性皮膚炎はそれらの発現が落ちているために、ダニやハウスダストといった外来抗原が皮膚の中に侵入してきて、アレルギーが完成し、アトピーになるというのが病態といわれています。

     皮膚に割れ目があることで水分を失ってしまい乾燥肌になるということが、アトピーの方の皮膚で起こっています。アトピーの病変部分のロリクリン(タンパク)は、正常な肌と比べて発現が10分の1以下に落ちています。

    保湿剤による表皮バリア機能の増強がアトピー発症を減少

     出生時の乾燥肌とアトピー性皮膚炎の発症率の関係について調べた研究があります。生後2日、生まれてすぐの時点で水分の蒸発量が高いと、1歳の時までのアトピー性皮膚炎の発症リスクが7倍高いというデータがあります。

     また、別の知見として、両親にアトピーがある新生児の場合、アトピー性皮膚炎の発症リスクが約10倍に上昇しているという研究結果があり、アトピーの体質は遺伝するといえます。

     また、成育医療センターの小児科の先生方の研究で、家族がアトピーを発症している新生児118名を対象とし、生後1週から乳液を塗布する群、非塗布群に分けて、32週までアトピーの発症を追跡しました。すると、乳液を塗布した場合は非塗布群と比較して発症割合が低下していました。保湿剤による表皮バリア機能の補強がアトピー発症を減少させたことがわかりました。

    バリア機能異常とTh2の免疫異常が密接に関連

     次に「免疫異常」についてです。Th1/Th2バランスが、アトピー性皮膚炎ではTh2細胞優位であることがわかっています。(※Th1細胞…細菌やウイルスなどの異物に対して反応する。Th2細胞…ダニやカビ、花粉などのアレルゲンに反応する。)

     アトピーの方はバリア機能異常があり、ダニやハウスダストといった外来アレルゲンから何度も暴露されているうちに、Th1からTh2へシフトすると考えられています。

     実際のアトピー患者さんで、IL―4とかIL―13というTh2関連のサイトカインが上がっているのが確認されています。

     Th2の何が悪いのかというと、正常な皮膚にTh2で刺激をすると、表皮バリア機能関連のタンパクの発現が下がる研究結果があります。アトピー性皮膚炎の病態であるバリア機能異常とTh2の免疫異常が密接に関連していることがわかります。

    (2020年11月8日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 竹本衣里)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
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    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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