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  • 2 0 2 1

    第591号

    子どものアレルギーを正しく知ろう~新しい知見を中心に~①

    同愛記念病院小児アレルギーセンター・センター長 増田 敬先生

     子どものアレルギーは非常に幅広いので、新しい知見を中心にお話をさせていただきます。近年、子どものアレルギー疾患が増加していますが、アレルギーマーチの進展を予防することがアレルギー専門の小児科医の重要な課題となっています。

    アレルギーとは

     アレルギーとはIgE抗体を産生しやすい体質(アトピー素因)をもつ人に多く発症します。言い方を変えると、身体に不利益な状態が引き起こされる免疫反応です。正常な免疫反応の例から単純に解説します。インフルエンザウイルス(抗原)が体内に入ると、体はこのウイルスに対する抗体を体内に作ります。再度ウイルスが侵入すると、抗体が抗原を攻撃し対応します。このような働きで人間の体は病原体から体を守っています。一方、アレルギー反応の例としてスギの花粉で解説します。スギ花粉(抗原)が体内に侵入すると、スギ花粉に対する抗体が作られます。ウイルスと同様に抗体が存在する体内にスギ花粉が侵入すると、抗体はスギ花粉を攻撃します。この時に自分自身を守るはずのさまざまな化学伝達物質が放出され、これによりくしゃみ、鼻汁などが生じます。この現象をオーストリアの小児科医ピルケがギリシャ語のAllos(奇妙な)とergon(反応)という語を合わせた「アレルギー」として提唱しました。

    「アレルギーマーチ」とは

     子どもの成長によって、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎などへと、さまざまなアレルギー疾患が時間、臓器を異にして次々に起きる現象です。日本小児アレルギー学会初代理事長の馬場実先生が、まさに疾患の「行進」のようであると考え、名付けました。

     近年の子どものアレルギー疾患者数の傾向は、アトピー性皮膚炎、ぜんそくは高止まりから減少に、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーは非常に増えてきています。

    食物アレルギーについて

     食物アレルギーとはアレルギーの原因になる物質が食べ物の場合です。どの年齢の子どもでも、近年増加傾向です。疫学調査(1時間以内に症状が起きた場合の調査)の結果によると、即時型食物アレルギーの発症は乳児(0歳児)が32.2%、1歳児が20.8%。50%以上がこの年代で起きています。多くは自然経過で治癒していきますが、成人まで持ち越す、または、成人になってから発症する方もおられます。

     原因食物は、多い順に卵、牛乳、小麦です。この三つで全体の70%を占めます。低年齢時は卵が圧倒的に多いですが、年齢が上がってくるとピーナッツ、甲殻類が増加してきます。最近、学童ではナッツ類が増加傾向にあります。成人では小麦が多く、海外でも小麦は日本人以上に多いようです。

    発症の原因

     従来は、子どもの食物アレルギーは腸管免疫の未発達が原因といわれていました。近年は、経皮感作が科学的な根拠をもって原因といわれるようになってきています。ドライスキン・皮膚が傷んだ状態で、バリア機能低下状態のところに食べ物が付着することで、皮膚から感作が進み、アレルギーが発症するということです。20年ほど前から欧州で考えられた概念です。英国のLack先生のピーナッツアレルギーの有病率に関する疫学研究です。英国に移住したイスラエル人の子どもと、イスラエル在住のイスラエル人の子どもでは、前者に明らかにピーナッツアレルギーが多いことがわかりました。さらに調査を進めると、英国ではピーナッツを含んだスキンケア用品の使用率が高いこともわかりました。

     このような事実からドライスキン、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎に伴う皮膚のバリア傷害がある場合、アレルゲンへの感作を促進し、アレルギーが発症しやすくなるといわれていました。

     日本で10年ほど前に「茶のしずく」という石けんによる小麦アレルギーを発症する人が多数出ました。多くは食物依存性運動誘発アナフィラキシーというタイプです。この石けんは小麦グルテンを加水分解してできたタンパクを含有していました。厚労省の研究班による基礎研究が実施され、皮膚から食物アレルギーが起きるということが日本で証明された形になりました。

     もちろん皮膚だけが悪いわけではなく、消化管粘膜からアレルギーが進行することもあると思います。

    (2020年11月8日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 庄田ひろみ)

    会員の方にこの講演の資料をお送りいたします。
    事務所まで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
    また、講演内容の動画も配信していますので、メールでお申し込みください。

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