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    第651号

    アトピー性皮膚炎の治療戦略②

    東京慈恵会医科大学皮膚科学講座准教授 勝田 倫江先生

    全身療法の選択と病態形成に関わるサイトカイン

     全身療法としての治療には、(1)内服薬か注射薬か、(2)機序(薬がどのように働くのか)、(3)投与方法、(4)小児についてはその年齢、(5)治療の有効性と安全性など、さまざまな選択のポイントがあります。
     薬の種類は①JAK阻害薬、免疫抑制剤(内服)②生物学的製剤(注射)の2系統です。
     病態形成に関わるサイトカインとして、急性期ではかくことで出てくる指令物質のアラーミンがTh2の免疫環境を作ります。このサイトカインが苔癬化やかゆみに関係しており、長引くと病態ができあがって慢性期となるため、ここを抑えることが現在の治療法の考え方になっています。
     薬剤の作用機序は、細胞膜の外側と内側で考えます。サイトカインの指令が入ってくる細胞の外側で遮断する抗体製剤(注射薬)と、細胞の内側でサイトカインの指令の伝達を抑えるJAK阻害薬(内服薬)になります。

    抗体製剤(生物学的製剤)の作用機序と選択

     抗体製剤では、かゆみに対して特別に効果が高いサイトカインのIL-31を抑えるネモリズマブ、Th2というアトピーの免疫状態を抑制しIL-4やIL-13を抑えるデュピルマブ、慢性の皮膚の血液に多くなるIL-13だけを抑えるレブリキズマブやトラロキヌマブがあります。
     抗体製剤の注射薬はすべてペン型で1回使い切りです。また自宅で自己注射ができます。自己注射のメリットは、費用が抑えられることです。注射をする間隔は、体内の薬物量(または血中濃度)が自然に半分になるまでの時間(消失半減期)によって違ってきます。また、デュピルマブ(抗IL-4Ra阻害)だけは、アトピー性皮膚炎以外にぜんそくや慢性閉塞性肺疾患など、ほかの疾患でも適応があります。トラロキヌマブ、レブリキズマブ、ネモリズマブはアトピー性皮膚炎のみが適応の薬剤です。
     投与間隔は、デュピルマブとトラロキヌマブは2週に1回、ネモリズマブは4週に1回。レブリキズマブは2週に1回、皮疹が改善したら4週に1回と、臨機応変に使うことができます。

    JAK阻害薬の作用機序と選択

     JAK阻害薬には、皮膚の厚みや好酸球まで、まとめて抑える効果があります。アトピー性皮膚炎で使用できるJAK阻害薬は低分子化合物の3剤で、違いは濃度です。濃度が高いほどかゆみや免疫や好酸球を抑える効果があり、早急に症状を抑えたい時は効果が高いですが、副作用も高いため、考慮が必須です。そのため、使用開始時にはレントゲンや血液検査など、健康状態を確認してからの投与が必要となります。
     投与間隔は、ウパダシチニブ、アブロシチニブ、バリシチニブは1日1回、シクロスポリン(免疫抑制剤)は1日1~2回内服です。

    症例の紹介

    症例1 30歳男性、幼少期からアトピー性皮膚炎。2週間の外用強化で改善傾向にあるが、発汗で強いかゆみを生じ、日常生活に支障がありました。EASI:24.8(顔、四肢半分、体幹にも皮疹があります)。
    治療経過:抗体製剤導入2カ月で苔癬化が改善しました。ひざ裏の肥厚が減少し、かゆみが減ったことで、“触ってしまう癖”も軽快。IL-13標的により苔癬化・肥厚が治まりました。

    症例2 40歳男性、幼少期からアトピー性皮膚炎。長年、真面目に1日2回外用薬を塗布してきましたが、背部の皮膚が薄くなってしまって、けがをしているような状況です。EASI:25.8。
    治療経過:抗体製剤5カ月で傷はほぼ治癒し、深く傷があった場所には脱色素がありますが、ほぼきれいになりました。以後は保湿と非ステロイド抗炎症外用薬を併用して継続治療中です。
     治療継続については、治験データからの示唆があります。16週まで十分に治療し、その後プラセボ(偽薬)に切り替えて休薬すると、EASIや症状は再燃し、抗体製剤の再開で再び効くことが示されました。
     注目点は休薬までの期間です。寛解が“ぎりぎり”の段階で休薬した例は8週で再燃し、十分に皮疹を治しきってから休薬した例では24週で再燃と、寛解の期間に差が出ました。しっかり皮疹の抑制がかかってからの休薬、中断で再投与までの期間が延長できます。したがって、休薬、中断は急がないことが大切です。「しっかり良くなりましたね」と、医師と患者で合意ができた段階で初めて休薬の検討をすることが大切です。

    (2025年6月8日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 小平)

    講演内容の動画を配信していますので、メールでお申し込みください。

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