アトピー性皮膚炎発症
元気に生まれて数日後、「何となく皮膚が赤いな…」そんな小さな違和感から、私たち親子の長いアトピーとの闘いが始まりました。
最初は「乳児湿疹かな?」と軽く考えていましたが、赤みは顔から首へと広がり、カサカサとした湿疹に。機嫌も悪く、夜はかゆみで何度も泣いて目を覚ますようになりました。ミトンをはめても、顔はかき傷だらけ。ミトンは血で滲み、そのたびに胸が締めつけられる思いでした。
皮膚科では「アトピー性皮膚炎」と診断され、ステロイド軟膏の使用を勧められました。しかし、当時の私は「ステロイドは毒」「皮膚がボロボロになる」といったステロイドバッシングの情報にとらわれ、ステロイドを使うことに強い不安を抱いていました。「赤ちゃんに使って大丈夫なの?」「副作用が出たらどうしよう」そんな不安が頭をよぎり、素直にステロイド薬を使う気持ちにはなれませんでした。
それでも、夜も眠れずにかゆがる息子の姿を見るたびに、心が張り裂けそうでした。「妊娠中の生活が悪かったのかも」「何か食べたものがいけなかったのでは」そんなふうに、自分を責め続ける日々が続きました。私自身も寝不足が続き、体も心もふらふらに。「もう嫌だ…」と、ネガティブな気持ちに押しつぶされそうになることもありました。
外出先では、見ず知らずの人に「かわいそうに。お母さん、何とかしてあげないと」と心ない言葉をかけられ、胸が締めつけられました。息子をギュッと抱きしめ「ごめんね、ごめんね」と繰り返しながら、涙を堪えていたのを今でも思い出します。
代替療法への期待と現実
「漢方がいいらしいよ」と友人に勧められ、漢方クリニックを受診。まだ母乳しか飲めない息子に漢方薬をどう与えるのか尋ねると、医師から「お母さんが飲んで、母乳を通して赤ちゃんに届けましょう」との説明がありました。
その日から、漢方薬を煎じ、私が飲みながら母乳を与え続けました。卒乳後は、苦い漢方薬をコップ1杯、息子自身が毎日欠かさず飲み続ける日々が始まりました。思い返すと、あの幼い体で、よく頑張ってくれたと思います。
また、「硫黄が効く」と聞けば各地の温泉へ、「塩水がいい」と聞けば海へ。私は息子を連れてあちこちを巡りました。海水がしみて目に涙を浮かべる息子に「我慢してね」と、心とは裏腹な厳しい言葉をかけながら、自分に言い聞かせるように「これはアトピーを治すため」と繰り返していました。笑顔で過ごすはずの温泉や海水浴も、私たち家族にとっては、ただの“治療”の一環でしかなかったのです。
ある日、母が「スーパーミクロ療法」という治療法の本を持ってきました。ちょうどその頃は、息子のかゆみがひどくなる一方で、私たち親子は心身ともに疲弊し、出口の見えないトンネルの中にいるような日々を過ごしていました。まさに藁にもすがる思いでクリニックに足を運びました。そこで処方されたのは、微粒子でできているという「スーパーミクロ軟膏」。成分の説明はなく、使い方も曖昧なまま塗り始めたところ、まるで嘘のように湿疹が引き、夜もぐっすり眠れるようになりました。
嬉しさと安堵の中で、ふとよぎったのは「どうして、この薬でこんなに良くなったのだろう?」という疑問。そして今になって思うのです。もしかしたら、その軟膏にはステロイドが含まれていたのかもしれない。そうであれば、きちんと医師の説明を受け、納得した上で使うべきだったと。あの時は、治療の本質よりも「今すぐ治したい」という気持ちが先に立ち、大切なことを見落としていたのだと思います。









