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    第612号

    ぜんそくQ&A②

    【回答】 慶應義塾大学医学部呼吸器内科教授 福永 興壱先生

    質問 呼気NO(一酸化炭素)検査で、初診時の値32ppbが吸入ステロイドを3年間使用して14ppbまで下がりました。その後、1カ月間の吸入中止後、また32ppbに戻ってしまいました。
     初診時と比べて、ぜんそくの自覚症状は別になく、このまま休薬したいのですが、吸入を再開すべきでしょうか。この数値の変化をどうとらえるべきでしょうか。

    福永先生 症状がなくなったのは本当にいいことだと思います。ただ一方で、NOが元の高い値に戻ってしまっているということは、まだ炎症がくすぶっていると判断してもいいと思います。
     NOは治療の指標ではないという話もありますが、ステロイドをやめて元に戻っているということは、このまま放置しておくと、今度は症状として現れる可能性があります。吸入ステロイドの治療は継続されたほうがいいのではないかと思います。

     

    質問 ICS(吸入ステロイド)やほかの投薬も必要がないくらいまで、ぜんそく症状が軽減することはあり得るのでしょうか。

    福永先生 ICSやほかの投薬が必要ないくらいまで、ということですが、最低量、低用量のICSは、やはり継続していただきたいと思います。
     肺は皮膚と同様に外界とつながっていて、発作原因の抗原に再度暴露される可能性は非常に高く、その場合はまた炎症、ぜんそく発作が起きてしまいます。
     常日頃から、少ない量でもいいのでICSを使って炎症を抑えることが大事だと思います。
     もし、どうしても続けたくないという場合には、1カ月から3カ月やめてみて、また症状が出たら治療を再開するようなことはあり得ます。

     

    質問 難治性ぜんそくの患者です。BT(気管支熱形成術)を行い、現在はデュピクセント接種開始から1年経過して症状は改善しましたが、季節の変わり目、台風、タバコなどのにおいに敏感で、息苦しい日々が多々あります。この息苦しさが一生続くのでしょうか。今後の新しい治療薬の期待度をお聞きしたいです。

    福永先生 今後は、IL―4、IL―13といったサイトカインの上流とも呼べる抗TSLP抗体がおそらく数年内には上市されてくると思います。それはアトピー性のぜんそく以外にも効果があるのではないかと期待されていて、もしかするとこの新しい抗体が、ご質問をいただいた患者さんには効果があるかもしれません。それまではしっかりと吸入ステロイドを含めて、これまでの抗ぜんそく薬での治療を継続していただければと思います。

     

    質問 1回発作が起きると、ステロイド内服や点滴をして、瞬間的にはおさまりますが、2カ月近く発作期が続き、咳がない時期のほうが少ないです。発作が起きた後、次の発作を起こさない過ごし方、工夫を教えてください。

    福永先生 発作を起こさない工夫とか過ごし方は、日常生活環境の変化や抗原などの回避になります。2カ月近く発作期が続いてステロイドの内服を使うということは、ステロイドだけではコントロールがついていない状況にあり、そうであれば、抗体製剤の適応を考えたほうがいいのではないかと思います。ただ、抗体製剤も、どれをどのように使うかは、専門の先生とよく相談して決めていただければと思います。

     

    質問 気管支ぜんそくを長年患っており、俳優としての舞台出演を避けてきました。来年出演したい舞台があるのですが、咳が止まらなくなるのが心配です。良い治療法を知りたいです。

    福永先生 舞台の出演などは、どうしてもほこりっぽい閉鎖空間など発作が起きやすい環境ですので、普段から発作が起きないように炎症の閾値を下げておく必要があります。
     まず基本は、吸入ステロイドあるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤の治療をしっかりと継続することが大事です。その上でコントロールがつかない場合には、生物学的製剤の適応になるかと思います。
     そのような治療を行う中で、必ずどこかで調子が良くなるポイントが見つかります。主治医の先生と相談をして、薬を決めていっていただければと思います。また、継続も大事です。
    (2021年10月31日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 綿貫)

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