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    第629号

    小児食物アレルギーQ&A①

    回答 帝京大学医学部小児科教授 小児アレルギーセンターセンター長
       小林 茂俊先生
    司会 帝京大学ちば総合医療センター第三内科(呼吸器)教授
       山口 正雄先生

    質問 エピペンは、主治医から「迷ったら使って良い、救急車で良い」と言われています。誤食疑いや誤食時に使うか迷います。消化器症状で繰り返しがどのくらいであれば使うタイミングなのか、判断基準を教えてください。

    小林先生 アナフィラキシーについて、一般の方が正確に判断することは難しいと考えます。アレルギー講習を行う医師は「迷ったら使っても良い」と必ず言うことにしています。
     たとえば症状として嘔吐があった場合、目の前で何度も繰り返して吐くようであればエピペンは使っていいでしょう。時間をおいて吐くようであれば、繰り返し吐くよりは軽いかもしれません。同じ嘔吐でも、吐いた後回復せず、吐き方が非常に辛い場合はより重いアナフィラキシーかもしれません。そういったことを総合的に判断します。そういうわけで一般の方が見て正確に判断するのは難しいです。
     エピペンは、重大な心臓の病気があるなどの例外を除いて、きつい副作用はほぼありません。アナフィラキシーが進行して悪くなることを考えると、使うメリットのほうがはるかに大きいです。症状が出ている、エピペンを手にしている、でも使おうかどうしようか迷っている、そんな場合は使ってください。

    質問 現在、食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて、教育機関や災害支援の関係者に周知されていますか。40年前、給食の後に何度も重篤な症状になりました。当時は、原因がわかりませんでした。

    小林先生 私も全く同じような経験をしています。30年前にある患者さんが学校で食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)を起こしたのですが、過換気と間違えられました。その頃にはほとんど認知されていなかったと思います。ですが、今学校の生活管理指導表を見ますとFDEIAを書く欄があります。学校の先生方は、少なくとも知っていなければいけないことになっているので、認知度はかつてに比べると上がっていると考えます。同様に災害支援の関係者の方々の認知度も上がっていると思われます。

    質問 食物アレルギーのニュースは子どもに関する記事になりがちです。大人の食アレやアトピーは、なぜニュースになりにくいのでしょうか。

    小林先生 推測ですが、まず単純に頻度が違います。また子どものことは話題になりやすいです。大人の食アレの方はいますが、子どもに比べると割合が少ないことから、ニュースになりにくいのかもしれません。
     ただ今後は少し状況が変わる可能性があります。食アレが少しずつ増えている中で治らない方も出てきており、そういった方が今大人になりつつあります。また成人の花粉食物アレルギー症候群(花粉のアレルゲンが果物・野菜のタンパクと構造が似ているために起こるアレルギー)も増えています。
     今後、大人の食アレは増える可能性があります。これも推測ですが、メディアが取り上げる基準は一般の方の感覚と違って「いかに話題になるか」なのかなと思っています。

    質問 医師が余分に薬を処方しても、薬局が1日も余分な薬を調剤してくれません。どうしたら災害備蓄用の薬を入手して保管をすることができますか。通っている薬局が厳しいのでしょうか。

    小林先生 「薬局が1日も余分な薬を調剤してくれません」というのは極端ですね。私はそのような経験はありません。個々の状況はわかりかねますが、災害用の備蓄を考える上で、薬剤の備蓄に関しては研究班でも議論になりました。薬を処方する時に残薬をチェックし、残薬のある方は処方日数を調整するという厚労省の方針があるからです。
     たとえば高齢者の方に湿布を処方する場合に、湿布が残っているということをなかなか医師に伝えられなくて毎回処方され、ついには段ボール1箱になってしまったという場合もあるようです。それでは医療費が無駄になってしまいます。
     ただ、新薬の場合は、発売後1年間は14日分の処方に制限されます。何か事情があるのかもしれませんから、薬局に聞いてみてはいかがでしょうか。
     毎月ぜんそくで通っているけども、インフルエンザになった、転んで骨折して歩けなくなったなど、外来を延期しなければならないようなことは日常的にあります。そのために1週間、2週間と余分に処方することはあり得ると思います。私は「災害のために備蓄しておいたほうが良いから、少し余っててもいいよ。でも何カ月分もあったらだめだよ」などと話をすることがありますし、そのように処方しても薬局から断られたことや、疑義照会があったことはありません。もともとの政策の趣旨からも1週間、2週間程度であれば備蓄があることは全く問題ないと思われます。主治医に相談するのも一法です。

    (2023年5月28日 日本アレルギー友の会講演会より、採録 河野)

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