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    第589号

    思いがけない米寿の祝い 上野 光子

     本年9月に思いがけず認定NPO法人日本アレルギー友の会(以下当会)より、私の米寿の祝いに裁縫箱(バスケット型のソーイングボックス)をいただき、大変幸せに思いました。厚くお礼を申し上げます。

    活動に参加して鍛え育てていただいて 

     私の米寿は昨年でしたが、昨年は当会の50周年記念行事と重なっていたので、今年祝いをいただきました。今89歳になり、生かされていることを不思議に思います。

     私は1963年(昭和38年)、30歳の夏にぜんそくを発症して、当会発祥の地である同愛記念病院のアレルギー病棟に入院しました。当時日本に一つしかないといわれたアレルギー科です。発作で、周囲の者が死ぬと思うほどの苦しさを2回経験してからの入院でした。父もぜんそくで50歳で亡くなり、私の入院は毎日の発作とぜんそくへの恐怖心が重なり1年半にわたりました。

     私の発症当時、同愛記念病院のアレルギー科外来にはぜんそくで不安を抱える方が山のようにいて、病棟には入退院を繰り返す患者が多く、この病気が良くなる決め手のない時代で、このような方々が集まって1969年(昭和44年)、当会が誕生したのです。

     私が当会の活動に参加したのは1972年、以来名誉理事長の肩書をいただくまでの35年間です。活動への参加を辞めてしばらくになりますが、活動中「あおぞら」の編集、相談員、雑務などを通じて、患者さんの役に立ちたいという思いが、私を「鍛え、育ててくれた」と思っています。

     現在私は吸入ステロイドを中心に、クラリスやほかの薬も使い、好酸球に対する治療も受け、悪化時の予備薬もいただき、安心感を得て生活しています。

     米寿の祝い、あらためて厚くお礼を申しあげます。

    良い医師を選び本人も勉強を 

     本年8月に当会のオンラインによる「ぜんそくおしゃべりカフェ」に私もオブザーバーで参加し、発言もしました。その中で40代女性のAさんは、主治医がさまざまな治療をしてくださっても気道の奥の閉塞感が取れず悩んでいました。聞けば、医師を信頼していないとのこと。私やほかの参加の方も、彼女の症状を理解してくれる医師に診ていただくことを勧めました。

     吸入ステロイドが普及した現在でも、Aさんのような症状の方が比較的多いことを見聞します。

     当会会員で70代の女性、Yさんは、風邪からぜんそくが悪化し、薬を十分に使用しても気道の奥のほうの閉塞症状が取れないと、風邪をひくたびに悩み、当会に相談していました。数年前に相談員がその症状を理解していただけそうな医師を紹介しました。Yさんは日頃使っていた吸入ステロイドの合剤は動悸がして使用できないと言い、拡張薬の入らない粉末のアズマネックスという吸入ステロイドを使い、テオフィリン系の拡張剤を内服していました。

     新しく紹介した医師はアズマネックスにエアゾールタイプのオルべスコという吸入ステロイドを重ねて使うよう指示され、それを使うようになって以来、気道の奥の閉塞感が取れてらくになり、現在もそれを使い続け、普通の生活をしているということです。

     以前「あおぞら」の体験記に、会員で九州方面の歯科医師のNさんという女性が、ぜんそくで長く苦しむ中での経験から、吸入ステロイドでもエアゾールタイプのキュバールやオルべスコはガスが入っていて、気道の奥まで薬が到達し、らくになると書いていました。

     以上はご参考までに申しあげましたが、良い医師を選び、コミュニケーションを大切に、症状を端的に、あるいはメモにしてきちんと伝え、診ていただいてください。本人がぜんそくについて勉強するのも大切です。

     また、呼吸がらくにならない理由として、吸入ステロイドが上手に吸えていない場合があることが、専門医のお話や本紙でもたびたび取り上げられています。吸入ステロイドは落ち着いてていねいに深く吸い込んでください。

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