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    第600号

    「あおぞら」100号の思い出

    上野光子

    之養如春
     (これをやしなうはるのごとし)
                      井上 靖

     之とは特別の意味はない。しいていえば、世の中のすべてのことといえようか。

     木々も草も、寒い冬の間じっとそのつらさに耐えている。しかし、いつまでも冬ばかりあるわけではない。いつかは暖かい春の光がそそぐ時が必ず来る。その光は決して強いものではないが、のどやかに、優しく、すべてのものを育てるのだ。この言葉のように。

     


     

     「之養如春」は、今は亡き作家・井上靖先生の好きなお言葉。これは「あおぞら」100号(1980年3月号)の表紙、それ以前の号にも掲載した。

     元は婦人雑誌に掲載されていたもので、「あおぞら」掲載にあたり、同雑誌、著作権協会の了解を得、井上先生の了解もと電話番号を教えていただいた。

     電話をすると奥様が出られ、先生に代わる。先生は「何に載るのか」と静かに言われ、私が一生懸命説明していると、電話の向こうがあまり静かなので、瞬間、誰もいないのではと思い「もしもし」と言うと、「はい」というご返事。最後に先生は、「それが載ったら送ってください」と静かに言われた。そして「あおぞら」に掲載。先生は他人の話にじっと耳を傾け必要な言葉を二言三言。先生の静かなお人柄を感じた。

    (上野光子)

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