「あおぞら」創刊600号特別記念号発行について ―アレルギー疾患治療の発展と未来―
認定NPO法人日本アレルギー友の会理事長 武川 篤之
1969年の創立以来、会員をはじめ各関係者へ毎月お届けしてまいりました機関紙「あおぞら」が、創立52年目の本年11月に創刊600号を迎えることとなりました。
時代の変遷の中でアレルギー疾患を取り巻く状況は大きく変化してきましたが、その時代に応じた最新の正しい医療情報・知識、患者体験記、日常生活での工夫等を、患者視点で発信し続けてまいりました。また紙面内容等につきましては、医学的妥当性の担保が肝要であることにより、常任顧問および顧問の先生方のご指導・ご寄稿をいただき正確さを期してまいりました。これらを網羅的に具備した患者のための月刊機関紙はこれまで例がなく、インターネット時代となりましても、患者・その家族が病気と付き合っていくさまざまな知恵や方策を身につけることができ、生きる希望と勇気を与える、として医療関係者等からも高い評価をいただいております。
これもひとえに長年ご支援・ご協力くださいました会員のみなさま、また、厚生労働省はじめ関係機関のみなさま、医療者、メディア、企業のみなさまのおかげと心より感謝申しあげます。
今般、あおぞら600号特別記念号は、500号から600号までの弊会のあゆみや、コロナ禍における患者の悩み等を取り上げた座談会特集を組み、「アレルギー疾患治療の発展と未来」をコンセプトとして、わが国で今なお増え続け国民病となっているアレルギー疾患について、多くのみなさまと認識を共有し、現行の対処法として患者・家族等への大きな福音となる冊子を発行することといたしました。
今後とも関係する多くの行政・関係機関・医療者・企業・メディアのみなさまとのネットワークを通じ、公益性のある患者視点でのアレルギー疾患啓発活動にいっそう精進してまいる所存でございます。変わらぬご支援・ご協力を賜りますよう、お願い申しあげます。
あおぞらに期待する
常任顧問 ふれあい横浜ホスピタル院長 坂本 芳雄
「あおぞら」600号という、とてつもなく大きな積み重ねに心の底から敬意を表します。まことにおめでとうございます。1号また1号と几帳面に号を積み重ねていくことは決して容易なことではありません。しっかりとした覚悟と忍耐と愛情、探究心と向上心、そしてまわりのサポートが必要です。それらがこの友の会では上野光子様、堀内繁様を中心に綿綿と継承されてきました。
「あおぞら」は、昭和40年代の高度成長期の真っ只中で公害による大気汚染、スモッグで大気は濁り、東京では青空なぞめったに見ることができない、そのような時代に青い空に憧れ、そして早くぜんそくが良くなって青空の下で清々しい空気を思いっきり吸いたいと心の底から祈ったであろうぜんそく患者が集い、自発的に開いた勉強会が発信してきた手作りの情報紙です。その理念は今でも変わっておらず、ぜんそくだけに限ることなくアトピー、さらには食物、薬剤アレルギーなど広くアレルギーの病気の知識を吸収する姿勢を貫いています。そして得た知識を同じアレルギーの病気で苦しむ方にあまねく広め、手を差し伸べ、電話相談などを通して心のケアも含めて活動しています。
私が恩師の伊藤幸治先生の薦めで友の会に加わってから10数余年が経ちました。その間に50周年という大きな節目に立ち会わせてもらいました。活動実績が高く評価され東京都の「認定」NPO法人に昇格もしました。このたびは「あおぞら」600号という節目にも立ち会うことができてとても幸せです。このコロナの時代に、一堂に集い語らい合う形式の講演会ができないままになっているのが何より残念ですが、こういう時代だからこそお互いを繋ぐ大切なツールとして「あおぞら」の果たす役割は今まで以上に大きく、期待もされていると思います。ますますの発展を祈念します。
「あおぞら」600号特別記念号に寄せて
常任顧問 日本臨床皮膚科医会会長 東京逓信病院皮膚科客員部長
あたご皮フ科副院長江藤 隆史
日本アレルギー友の会は、一昨年2019年秋に設立50周年を迎え、半世紀もの歴史をもった患者会として多くのみなさまから祝福を受けました。その当時は全く想像もしていなかったコロナ禍の世界蔓延の直前に、あれだけの立派な記念式典を開催され、今思えば、何という絶妙なタイミングでの企画だったのかと身震いしてしまいます。設立以後、地道に毎月発行されてきた「あおぞら」ですから、年12号×50年=600号の単純計算にほぼ合致しての600号達成、途中で途絶えることなく50年間継続されたのだと思うと、そのすばらしい継続のエネルギーに感服するばかりです。本当におめでとうございます。
私は、アトピー性皮膚炎部門の常任顧問として、ぜんそく部門の坂本先生の子分として活動を共にさせていただいてきましたが、その経歴は10年程度とまだまだ少なく、50年の歴史、600号の会報は、それまでに歴史的に多くの先生方やスタッフのみなさまが大変な苦労の末積み上げてきた功績なのだと感謝いたしております。
コロナ禍になって、社会は大きく変わりましたが、リモートでの活動が定着してきて、ますます日本全国の悩めるアレルギー患者さんに接することができるようになったのではないかと思います。リモートでの会合を活発にし、月刊の「あおぞら」を主軸にした、日本全国での患者会活動をますます活発化されることを願っています。
アトピー性皮膚炎にも近年、続々と新薬が登場し、そのような動向から、隠れていた脱ステロイド患者さんや不適切治療のまま引きこもってしまっている患者さんが、皮膚科を訪れようかなと迷い始めています。ぜひ患者会の力で、悩めるアレルギー患者さんたちをもっともっとたくさん救っていっていただければと期待しております。
600号おめでとうございます
常任顧問 帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(呼吸器)教授山口 正雄
「あおぞら」が号数を重ね600号を迎えることにお祝いを申しあげます。
私自身はアレルギーだけ診ているのではなく、ぜんそくに加えてCOPDや肺炎や間質性肺炎などの呼吸器内科診療、そして新型コロナ入院調整が現在の主な仕事となっています。
今までにアレルギーの患者さんを診てくる中で、たくさんのことを教えていただきました。天候や環境や食べものの成分など、我々の身のまわりの細かいところまで目を向けるべきこと、患者と医者とでは薬に対する思いがかなり異なること、患者さんからの一言の中にいろいろな思いやヒントが詰まっていること、などなど。そして前任地の帝京大学病院(東京都板橋区)では、ERで治療を受けた後のアナフィラキシーの患者さんを毎週診ましたが、主に夜間の疾患であることを実感、そして成人の食物アレルギーは原因アレルゲンがわからないことが多く、かなり手強い疾患であることを知りました。
現在は千葉県市原市で働いていますが、アレルギーに興味をもつ医師を増やしたい、地域でアレルギー診療を少しずつ盛んにしていきたい、と考えています。
医師がアレルギーに向き合うことを通じて、個別化医療、言い方を変えると、医師本人が個々の患者さんの違いに向き合うことになるはず。アレルギーの診療が充実するのは好ましいことだと思います。今後もアレルギー友の会が発展し、アレルギーの患者さんと医師やさまざまな機関とを結びつける役割を担っていただきたいと期待しています。
日本アレルギー友の会 歴代の理事長(会長)と常任顧問等
1.歴代理事長(会長)
⑴細川 進氏(初代会長) 1969/4/26~1983/5/21
⑵奥山欣爾氏(第2代会長)1983/5/21~1993/5/29
⑶速水澄江氏(第3代会長) 1993/7/2~1996/9/17
⑷上野光子氏(第4代会長)1996/10/27~
(理事長)2002/5/30(NPO法人)~2007/11/11
(名誉理事長)2007/11/11~現在
⑸堀内 繁氏(第5代理事長)2007/11/11~2017/5/21
⑹武川篤之氏(第6代理事長)2017/5/21~現在
2.歴代常任顧問
⑴渡辺勝之延先生(初代常任顧問)1972~1996/5/26(逝去)
⑵伊藤幸治先生(第2代常任顧問)1996~2008/6/1
⑶坂本芳雄先生(第3代常任顧問)2008/6/1~現在
⑷江藤隆史先生(第4代常任顧問)2009/6/1~現在
⑸山口正雄先生(第5代常任顧問)2021/5/1~現在
永世顧問 (故)渡辺勝之延先生(2019/9/28)
特別名誉顧問 宮本昭正先生(2019/9/28)
名誉顧問 伊藤幸治先生(2019/9/28)
歴代理事長および諸先生に深謝いたします