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    第600号

    あおぞら600号特別記念号 アンケートより

    「あおぞら」600号発行にあたり、気管支ぜんそく・アトピー性皮膚炎の現状や治療の問題点を患者の立場から考え、治療の未来と患者の現状を把握するため多くの方にアンケートを実施しました。アンケートは①「あおぞら」にチラシを同封、②当会ホームページ、③TwitterなどのSNS、の各チャネルより募集し、多数の回答をいただきました。

     アレルギー疾患をもつことの辛さや問題点を社会に伝え、患者が疾患をもちながらも自分らしく幸せに生きることができる未来に向けて、みなさまのご意見を伺うことができました。

    ぜんそく患者の声

    ぜんそく患者としての思いや社会に伝えたいことを記入していただきました。切実な思いの一部をご紹介します。

    【新型コロナウイルス感染症関連】

    ・長期療養入院中の母(92歳)とほとんど面会できないのが大変辛いです。

    ・定期検診を受けようか迷い、1回だけ電話受診した。

    ・ワクチン接種はしたいが、地元の主治医とぜんそくの専門医で意見が異なり、悩み中です。

    ・コロナワクチン接種に対して、大学病院呼吸器内科の専門医に接種の許可をいただけなかった。(中略)2回目にもう一度お聞きした時に「今コロナに罹患していないのだから、今更接種しなくても良いのでは?」と信じられない言葉を言われてショックを受けました。

    ・ワクチンの良し悪しがわからない。

    ・ぜんそくで高齢(65歳)なので、感染した時の重症化を恐れています。

    ・さほど恐れてはいない。ワクチンの接種率が上がってくれば抑えこむことができると思っている。

    ・副反応が怖くもあるが、感染しやすい体質なので、感染して重症化した時のことを考えるとワクチンを打っておいたほうが良いという、やや消極的だが仕方ないという理由。家族にも基礎疾患があるので、うつさないようにしなければという思いもある。

    ・ワクチン接種するのは当然と思います。

    ・ワクチン接種は、できることならしたくないが、不安を減らす手段としては、今はこれしかないと思うので接種したい。

    ・基礎疾患があるので感染による死の恐怖がある一方で、同時に強いアレルギー体質でもあるのでワクチンのアナフィラキシーショックによる死の恐怖もあり、接種の選択を迷う。毎日不安です。

    ・ウイルスは目に見えないため、恐怖がある。いくら頑張っても、事務所ではマスクしない人がいてストレスになっている(ほかの場所ではマスクをしているのに事務所では無頓着な人が多い)。

    ・免疫不全症でもあるので、本人よりも周囲が心配しています。そのため危険性の高いところは避けていますが、さすがにストレスが増しています。

    ・視覚障害があるので、ガイドヘルパーさんとの外出が減りました。

    【社会生活が普通にできていない理由】

    ・授業を受けるのに配慮していただく必要があるが、なかなかうまく伝えられないから。

    ・まだまだ、健常者の働き方に身体がついていけてない。

    ・発作の回数が多くて仕事ができない。

    ・今の会社はフルフレックス、ほぼ在宅勤務、自宅から徒歩10分の二次救急病院がかかりつけ、さらに先生が良すぎて予約外通院や薬の対応の事前相談が電話でも可能という恵まれた環境にあり、具合が悪くなっても対処してもらえるが、(中略)ドクターストップやぜんそく悪化によるお休み(最長1週間)、迷惑をかけっぱなしのため。

    ・在宅メインの仕事に切り替えました。

    ・健常人と同じようには動けません。

    ・息苦しさのため言葉が少なくなってしまう。

    ・薬が多く、服用管理だけで疲れる。

    ・体調が悪い秋や台風の季節は、外出できない日もあります。

    【助成制度】

    ・ぜんそくからくる風邪の薬や関連する鼻炎薬、抗生剤などが助成を受けられないのが疑問。

    ・経済的にぎりぎりの生活で、医療費がきついので、少しでも助成が受けられれば助かる。

    ・好酸球性副鼻腔炎の難病認定にぜんそくが含まれているので助かっています。

    【治療の目標設定】

    ・発作が起きないこと

    ・良くなってステロイドの量を減らす

    ・発作と発作の期間をのばす

    ・安定してきたら薬を軽減する

    ・コントロールをして良い状態を維持する

    ・ピークフローの目標値を維持する

    ・年単位の無発作

    【自由記入】

    ・呼吸器内科を受診しているが、ピークフロー値を計測することについて、とくに言われたことがなく、また治療の目標などもなく、このまま通い続けて良いかわからない。

    ・吸入ステロイドがいつまで必要か(使用歴7年以上)。これから思春期に入り、良好なコントロールがくずれないか心配。

    ・一度ぜんそくと診断され、長年診察していただいても、薬が増えるばかりで体調が良くならない場合には、医師任せにするのではなく、再度自分のぜんそくの状態を調べてもらい、ぜんそくありきの診察を疑ってみることが必要だと感じています。(中略)それには、アレルギー友の会のような患者会などを通じて、病状についての正しい情報を得て、自分で自分の症状について調べることがとても大切であると思います。

    ・薬をきちんと使用していればとくに何もないので、逆に「咳も出てないのにぜんそくって???」みたいな反応をされるのが不愉快。仮病じゃないのにと思う。「まだ治ってないの?」も辛い。昔と今でかなり違うと思うけど、わかってもらえない。

    ・ぜんそくにアトピー性皮膚炎とあり、ほかの持病と併せて、1人なのに年間30万ほど医療費がかかり、負担になる。通院も気軽に休めず、体調が悪くなるのは病院が休みの時が多い。

    ・自分自身、ぜんそく発作に慣れっこになっていると思う。この関係は私が生きている間ずっと続くと思っている。

    ・以前よりは発作の回数も減り、落ち着いて毎日を過ごせるようになりましたが、体に負担がかかると体調を崩しがちです。神経を使う仕事なので、体調に不安があると十分な成果が出せない時があります。通院などは職場の理解が得られていますが、やはり居心地の悪さも感じます。ぜいたくな悩みかもしれませんが、もう少し症状が安定すればと日々思います。

    アトピー性皮膚炎患者の声

    アンケートの回答では伝えられなかったアトピー性皮膚炎患者としての思いや、社会に伝えたいことを自由に記入していただきました。切実な思いの一部をご紹介します。

    ・死ぬまで続く皮膚のケア。将来への強い不安がつきまとう。

    ・望む人生が送れない。世界中を回りたいのに。

    ・治らないのに毎日1時間かけて全身に塗り続けるという無為な行為の連続。もう30年も続けている。終わりにしたくなる。こんなに根気強い人々はいない。

    ・強いストレスにさらされ続けてきた。精神科クリニックで抗うつ薬も処方されている。怒りの衝動が抑えられない。

    ・子どものアトピー患者に対しては、積極的なカウンセリングや周囲の理解が必要ではないかと思います。小学生から思春期までの多感な時期に、思い通りに体を動かせない、みんなと同じものが食べられない、見た目が気になるなど、さまざまな葛藤と苦悩を味わいました。心も足元もグラグラの中で、ドロップアウトせずに何とか社会人までたどり着けたのは単に家族の理解があったからです。
     家族、周囲の理解がなかったら、小学生のうちに閉じこもった生活を送っていたと思います。あの時期に一度ドロップアウトしてしまうと、周囲の環境を自分自身で変えることも、立ち直ることも難しいと思います。心から打ち解けられる人がいる、心から心配してくれる人が1人でもいるだけで、本当に救われると思います。

    ・慣れること、諦めること、焦ること、影響はたくさんあると思います。先天的疾病は個性と受け止めること、家族関係による心身への影響、治療するための情報管理と指導のブラッシュアップ等、根本から理解することと支え合いが必要かと思います。

    ・猛暑の時期でも長袖を着て肌を隠さなければならず、汗をかいてよけいに悪化する。でも湿疹がひどく、恥ずかしくてとても半袖にはなれない。自分の汚い肌を見るたびに、本当に惨めで救われない気持ちになる。
     アトピーは増えているとは言われても、身近な知人や職場の同僚などで誰もアトピーの人はおらず、「どうして自分だけ」と思い詰めることもある。なかなか吐き出せない辛い思いをつぶやける場所がほしいです。

    ・孤独で誰も相談する相手がいないので相談できる場がほしい。医師は薬出すだけだし。社会的偏見は昔からあるから、これはどうしようもない。アトピー=汚い病気、怠慢と思われてしまう。

    ・薬を塗り続けることのストレスが大きいです。仕事柄夜勤もあるので薬をきちんと塗れないし、帰宅すると今度は疲れているので薬を塗る根気がありません。誰でも安価で受けられる、根治できる治療法ができることを心待ちにしています。

    ・アトピーの子どもをもつ母親です。子どもが夏に外で活動できません。汗で症状が悪化するためです。引きこもりのようになってしまいとても心配です。また、人目が気になり、学校で手入れができません(顔を洗う、タオルで汗をふく、クリームを塗るなど。先生の理解はあります)。人目が気になり、性格まで卑屈気味になってしまいます。どうしてあげればいいのか、悩みます。

    ・幼少時よりアトピー性皮膚炎と診断され、長年にわたってステロイド治療、脱ステのさまざまな民間療法、気功などに長い時間と多額のお金をかけてきました。いつしか治すことを諦め、何とか社会生活ができないか、この病気と折り合いがつけられないか、闘いの日々でした。布団に入るとかゆみが出て眠れなくなり、常に寝不足な状態で、食事療法で栄養不足となり冷え性もひどく、体調不良になると免疫力が下がり年に3、4回はヘルペスが発症し、カポジ水痘様発疹症になっていました。皮膚だけでなく20代で白内障、30代でもう片方の白内障の手術をし、さらに網膜剥離を何度も繰り返すようになり、網膜剥離の手術で角膜も限界を超え、スマホの文字が見えないレベルまで視力が低下しました。
     そこで新薬のデュピクセントに出会いました。1年経過した現在では劇的に良くなりました。体感として違う人間に生まれ変わった感じです。粉もかゆみも皮膚の炎症もさまざまな症状がありましたが、ほぼすべてなくなりました。1日を長く感じますし、とても元気になり本来の自分の力を知ることができとても嬉しい日々を送っています。何より迷惑をかけていた家族と仕事仲間に喜ばれました。この喜びと感謝を伝える場がなく、このような場を与えてもらえてとても嬉しいです。

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