NPO法人日本アレルギー友の会会報紙「あおぞら」が600号を迎えられたことに対し、武川理事長をはじめ役員・会員のみなさまに心よりお祝いを申しあげます。
2年前に開催された本会の50周年記念式典・講演会のプログラムを拝見したところ、日本アレルギー友の会が過去に開催した講演会の実績が掲載されていました。第1回は昭和44年4月に北原静夫先生による「成人気管支喘息について」と、満川元行先生による「小児喘息について」の講演があったと記録されています。以降20年近くは気管支ぜんそくを中心とした講演が続き、平成元年に初めてアトピー性皮膚炎のタイトルが登場します。これ以降はぜんそく以上にアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の講演が多くなっていき、患者会のみなさまの関心がぜんそくからほかのアレルギー疾患へと移っているようにも感じられます。
「あおぞら」が発刊された当時はぜんそくの治療法が確立されておらず、多くのぜんそく患者さんが苦しんでいた時代でした。当時の患者会のみなさまも適切な治療法を求めて暗中模索の状態であったと推測いたします。
ぜんそく治療の最も大きなターニングポイントは吸入ステロイドの開発と普及、ぜんそく病態の解明とぜんそく治療ガイドライン作成により、ぜんそくによる入院・死亡の減少が明確に認められるようになってきたことであります。そしてこれらの長いプロセスには多くの患者さんの臨床研究等へのご協力や、患者会等を通しての正確な知識の普及が不可欠であったと考えます。
また、現在進行形でもある複数の抗体治療を含めた重症ぜんそく治療の確立にも、同じようにぜんそく患者さんのご協力が欠かせません。これからもアレルギー疾患の治療の進歩には、治療学の進歩だけでなく、患者さんによる患者さんのための正確な情報の周知が極めて重要と思われます。
600号特別記念号の発行を迎えられた「あおぞら」の使命はこれからもさらに重要性を増すと考えます。「あおぞら」ならびにNPO法人日本アレルギー友の会のさらなるご発展を心よりお祈りいたします。